ブルガリア1部ベロエ・スタラザゴラに所属する異色の海外組MF加藤恒平(27)が、ハリルジャパンでのスタートを切った。W杯アジア最終予選イラク戦(来月13日、テヘラン)に向けた日本代表合宿が28日、千葉県内で海外組10人のみが参加して開始。早くもチームやファンの歓迎を受け「ウエルカムしてもらいました」と、笑顔で初代表初日を終えた。Jリーグ勢は来月4日に合流する。

 白シャツにジーンズ姿で宿舎に集合したMF加藤は、赤の代表ジャージーを初めて着た。冒頭に拍手で歓迎を受けるなど、約2時間の練習を終え「楽しくやれました。みんなウエルカムしてくれました。代表選手は人間性も素晴らしいと思いました」と笑顔。「呼び名は恒平とか加藤とか。まだそんな感じです」。愛称はまだないが、FW久保らと談笑しながらのランニング中には見学した子どもたちから「カトちゃん、頑張れ~」の声も。パス練習では、足元の技術も披露し「うまいっ」の声が数人からかかった。ハリルホジッチ監督との直接対話はまだだが「怖い方かと思ったが、冗談を言ったりメリハリが上手だなと思った」。

 J1経験がなくても、アルゼンチン、モンテネグロ、ポーランド、ブルガリアと渡り歩き、異例の経歴でつかんだ27歳初代表。「周りから見たら遅いかもしれないが、僕にとってはすべて必要な時間だった」。アルゼンチンではスパイクの歯が刺さらないほどの硬いピッチで練習。モンテネグロ時代はスイスのクラブにテストを受けたが不合格となり、節約のためにバスで30時間かけて帰った経験もある。「環境になれることは得意」。新たな環境に順応してレギュラーをつかんできた強さを生かす。

 代表招集決定後は、W杯予選の映像を何試合も見て準備してきた。ボランチとしての順列は一番下かもしれない。「代表は縦に速い。そしてDFのデュエルを意識している。それは自分の長所。生かすためにきた」。“無名の海外組”脱却への挑戦が、いよいよ始まった。【鎌田直秀】