日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が、過密日程の浦和レッズから最多5人を選出した。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝に進出した浦和がアルヒラル(サウジアラビア)との第1戦(リヤド)を18日に控える中、欧州遠征によって3日前まで拘束。日本協会に招集の強制力はあるものの、日本勢9年ぶりのACL優勝へ、新たな問題が浮上した。

 ハリルホジッチ監督の口から次々と浦和勢の名前が飛び出した。常連のDF槙野とMF遠藤に加え、MF長沢を初選出。GK西川を8カ月ぶり、FW興梠を2年2カ月ぶりと、よりによってACL決勝直前に長期ブランクから復帰させた。

 日本勢9年ぶり、クラブ10年ぶりのアジア王者を目指す浦和は、18日に敵地で第1戦がある。代表のベルギー戦は14日で、最速でも試合2日前の練習からしか合流できない。もちろん代表選出は名誉で拘束も認められているが、日本協会としてもサポートしているACL制覇へ、快進撃したことで選手が指揮官の目に留まる皮肉な結果となった。

 配慮について質問されると「浦和さんとは話をしているが、私の家はA代表。協会からサラリーをもらっている」と立場を主張。「私もクラブの監督時代は『A代表に行くなよ』と思っていた」と口を滑らせつつ「日本のことを考えればACLも大事。ここ9年、日本勢はファイナルに行っていない」と、事情を把握しながら招集に踏み切った。

 移動距離については「(日本発より)激しくない」と強調。東京~リヤド間は約8700キロ、ブリュッセル~リヤド間は約4600キロと半減するが、浦和はベルギー戦の前後から中東での事前合宿を計画しており、出遅れる上、日本より寒い欧州からの南下で暑熱順化が難しくなる。

 地理上、欧州組の増加も予想されたが、浦和勢の躍進により国内組(13人)が海外組(12人)を逆転。国内組が上回るのは1年5カ月ぶりだった。よりによって…。西野技術委員長が5日の鹿島-浦和戦を訪れ、あらためて理解を求める予定だが、いずれにしても指揮官の「詳しくは言えないが、浦和さんのことは考えている」の言葉を選手は信じるしかない。【木下淳】