歴史的惨敗だ。日本(FIFAランク55位)が最終戦で韓国(同59位)に1-4で屈辱の敗戦を喫し、2大会ぶりの優勝を逃した。前半3分にFW小林悠(30=川崎F)のPKで幸先よく先制したものの、日韓戦では42年ぶりとなる前半3失点。後半もゴールを割られ、63年ぶりの韓国戦ホーム4失点を喫した。引き分け以上でバヒド・ハリルホジッチ監督(65)の初タイトルとなる優勝だったが、宿敵に蹴散らされて2位転落。来年6月開幕のW杯ロシア大会に暗雲が漂った。

 初夢の前に悪夢を見た。W杯前年の最終戦、ハリルホジッチ監督がブーイングに包まれた。表彰式で準優勝とコールされると、またも「Boo!」。逆転優勝した宿敵が金色の紙吹雪を浴びる姿を力なく見つめ「韓国の方が格上だ。試合前から日本より強いと分かっていた。海外組も含めたA代表でも勝てたかどうか…。技術に驚かされ、すべての面で上回られた」。恥じてはいないようだった。

 かつて敵将の申監督が「地球が滅亡するまで続く」と形容した日韓戦。圧倒された。相手の前線4枚と相対した4バックが1対1で負け続け、中盤を逆三角形にしたことで余計に守備が機能しない。それでも、ハーフタイムの指示は「前から、はめにいけ」だけ。FW小林が「1人だけで追っても…」と嘆けば、中盤の選手も「迷いに迷った」と困惑。最初の交代も後半21分と遅かった。生命線のデュエル(球際の攻防)は「空中戦も地上戦も負けてしまいました。できることもなかった」と人ごとの指揮官。ホーム4失点は韓国戦で63年ぶりの屈辱だった。

 国内組だけの“B代表”とはいえ、相手も条件は同じ。先月のベルギー戦(0-1)で「ライオンを倒す寸前」だったはずが、アジアの虎にかみちぎられた。「B代表なのかC代表なのか自分も分からない」と首を振り、気付けば韓国戦42年ぶりとなる前半3失点。14年W杯ではアルジェリアを率いて韓国に4-2で完勝したが、その時は今回と逆に前半で3ゴール。韓国で「ポルトアレグレの悪夢」と呼ばれる悲劇を再現され、その試合に出ていた197センチのFW金信■に2点を被弾。最長身186センチの植田をサイドバックに置いたまま打つ手なく、お隣の国に手も足も出なかった。

 劇的な2連勝も帳消しのV逸。会見で「日本国民は絶望した」と質問されると「私と違う意見だ。2勝した。素晴らしい結果だ。W杯にも今日のメンバーでは行かない」と開き直り、最後に「それでは皆さん、良いお年を」と締めた。W杯まで半年。大丈夫か、ハリルジャパン-。【木下淳】

※■は火ヘンに日の下に立