日本代表は24日、千葉県内で合宿4日目を迎え、DF吉田麻也(29=サウサンプトン)の動きが日増しに鋭くなっている。6対6では主力組に入り、DFラインで冷静にボールを回し、抜群の安定感を示した。判断力の速さと、インサイドキックの正確さは見ていて頼もしくなるレベル。

 また、練習最後のインターバル走では、吉田らしい賢さというか、若干マリーシア的な省エネ走で図太さも感じさせた。

 約80メートルを15秒以内で8割ほどのスプリントで走り、30メートルを15秒でジョック、これをピッチを周回するスタイルで15本繰り返した。吉田は常にインコースをガッチリキープして譲らない。最短距離で回りつつ、早川コンディショニングコーチの笛よりも速くスタートする絶妙の要領の良さを発揮。吉田の組は6人で走ったが、大外は井手口が位置取りして、淡々と常に笛に忠実にスタートを切り、さらにトップで走り続けたのとは、吉田の“老かい走法”は対照的だった。

 一方の本田の組は5人で、香川がインコース→アウトコースときちんと負荷をかけていた。早川コーチは何度も「笛が鳴ってからスタート!」と叫んだが、吉田は汗を滴らせながら、ちゃっかりスタートを連発。相当きつかった様子で、グッタリした表情でダウンに入った。

 練習後の吉田は「ポジショニングというよりも、コンディショニングに重点を置いたメニューですね。僕たちもいろいろやってるんですよ」と、疲れ切った様子。「今まで外国人監督が多かったので、(日本人監督は)新鮮ですね」と、キレのあるコメントで報道陣のハートをつかむあたりはさすがだった。

 ロシアW杯ではVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が採用されることが決まっている。昨秋のブラジル戦ではVARで反則を取られているだけに、吉田にとっては気になる点かと思いきや「VARの採用は、もう決まっているので、適応するしかないですね。ボックス内でのシャツの引っ張り合いとか、目に見えるプレーは気をつけないといけない。当たり前のことですけど」とさらり。

 頭の回転の速さと、状況判断の正確さは、チームでもトップ。このしたたかなペースで吉田が調子を上げれば、西野ジャパンの最終ラインは安定した守備を展開してくれそうだ。【井上真】