ガーナとの国際親善試合(30日、日産ス)に臨む日本代表MF原口元気(27=デュッセルドルフ)が右ウイングバック(WB)で起用される可能性が浮上した。東京近郊で代表合宿中のチームは26日、離脱したMF青山を除いた26人全員での練習がスタート。西野朗監督(63)が主導した練習ではさっそく11人対11人の実戦練習が行われ、原口は3バックを採用した主力組の右WBに入った。持ち味のハードワークと攻撃力を生かし、3バックでのカギとなるポジションを担う。

 左ウイングとしてデュッセルドルフのドイツ2部優勝に貢献した原口が、右WBに立った。ハーフコートで行われたミニゲームではけがでコンディションに不安が残るDF酒井宏を控えに追いやり、主力組でプレーした。この日は合宿に入って初めて西野監督が自ら笛を吹いて実戦的なメニューに取り組み、原口の右WB起用が戦術の一端として見えた。

 3バックはより攻撃的なサッカーを目指すためのシステム。DF3人ができる限りラインを上げ、両WBが前線に上がって攻撃の人数を増やすことでゴールに近づく。WBは守備の時間は最終ラインまで下がり、味方ボールになればすかさず駆け上がって攻撃のエンジンになる役目。3バックが流行するドイツでプレーするDF酒井高は「WBは馬力がないとダメ」と話した。左に入る長友とともに、豊富な運動量と推進力を兼ね備える原口は適役だ。

 ハリルジャパンでは左サイドの主力としてワールドカップ出場権獲得に貢献した原口。前線の選手ながら守備にもよく走り、相手の攻撃を遅らせる役割を果たしていた。15年9月のW杯アジア2次予選アフガニスタン戦の後半途中から、経験のなかった右サイドバックに入ったことはあった。今度はあえて立ち位置を下げることで、相手ゴールに向かって攻撃に走る機会を増やす。MF山口は「裏に抜け出す動きもできる。生かしていければ」とイメージを語った。

 西野監督は練習から積極的にサイドチェンジを使うよう指示。WBをフルに生かしたい考えだ。DF槙野は「どこでもこなせるし、ハードワークもできる」と原口の頼もしさを口にした。西野ジャパンの攻撃の生命線になりうる両翼。その一角が、原口に託されることになるかもしれない。【岡崎悠利】

 ◆ハリルジャパンと西野ジャパンの戦術の違い ハリルホジッチ体制の4-3-3では守備を安定させ、ボールを奪ってから縦に速い攻撃を仕掛けるスタイル。西野ジャパンがテストした3-4-3は、より攻撃に意識を置く。両WBが前線に上がることで攻撃にかける人数を増やし、支配率も高めて攻め込む時間を増やしたい狙いがある。