日刊スポーツのサッカー担当記者が独自の視点で掘り下げる「Nikkan eye」。今回は、今こそ海を渡れと声を大にして訴えたい。ワールドカップ(W杯)イヤー、18年の日本代表の国際Aマッチがすべて終了。このタイミングで、世界でさらに強くなるために今すぐすべきことを考えます。

  ◇  ◇  ◇

おかげさまで、DAZNなどで世界中でプレーする日本人選手の姿をリアルタイムで確認できる時代になった。ただ、自宅の暖房器具の不具合で業者を呼んだら1週間連絡なし。いつ来るんだとクレームを入れたら、逆ギレされる日常。そば屋の出前もビックリの、日本では考えられない環境で生き抜こうともがく、あの選手のたくましさまでは、画面では分からない。

プレーの良しあし以前に、まず言葉。慣れない鉛筆を握って向き合うのは、広告の裏、真っ白い広大なスペース。分からなかった単語を100回ずつ繰り返し書いて覚えたその先に、ピッチでの真の勝負がある。また別の選手は、そう言っていた。

サッカーは結果が全て。プロはそう、それが正義だと思う。ただ、うまい、強いは、ほんの少しだけ見えている華々しい部分で、地中に張った根がどれだけたくましく太いか。全てはそこにあると感じている。

日本サッカーは強くなったのか。答えはイエス。強くなっていると思う。

そうは思うが、踊り場にいて、休憩中だ。登山なら、車やバスでも来ることができるあたりまではたどり着いた。日本サッカー協会の地道な育成制度の整備や、指導者の情熱、何より、組織されたJリーグがあってこそ。ここからは自力で登るしかない。滑落の危険も隣り合わせ。ロシアで見た頂上にいるフランスは、今のままなら絶対にかなわない怪物に見えた。

W杯で戦う相手は外国人。W杯で勝ちたいのなら、外国人との戦いを日常にしなくては、取り残されていく。

10年ほど前、前出の2人より年長の変わった選手がいた。欧州における日本人選手の評価が低いと本気で怒り「日本列島を(欧州の隣に)移動させない限り変わらない。ならば、こちらから近づくしかない」。そう言って海外に出て、W杯で3大会連続ゴールとアシストを記録した唯一の日本人選手になった。

日本は挑戦者。引きこもるのではなく、出る。それはある意味正しい。森保ジャパンの2列目を見てワクワクする人の声のトーンからも分かる。鋭いターンで前を向いて、攻めきる。面白い。彼ら3人も、言わずもがな、もまれている海外組だ。【八反誠】