今大会初先発のFW武藤嘉紀(26=ニューカッスル)が、プレミアリーガーの意地を見せた。1点を先行されてから3分後の前半43分、右サイドバック室屋の突破を見て、ペナルティーエリアで手を挙げる。DFの背後に潜ってマークを外し、上がってきた柔らかいクロスに難なく頭を合わせた。ゴール左に押し込み、ほえた。失点直後の嫌な流れを吹き飛ばした。森保ジャパンの追加招集選手では初めての得点者になった。

慶大4年だった前回15年のアジア杯。井原(筑波大)以来27年ぶりの学生代表として出場も、無得点に終わった。その年の10月、国際親善試合イラン戦(テヘラン)で得点したものの、その後は定着できず。生き残りを懸けていた試合で、同じ中東で、実に3年3カ月ぶりの代表弾を奪い「久しくゴールから遠ざかっていたので。今日やっと、日本代表の勝利に貢献できて非常にうれしく思います」と素直に喜んだ。

W杯ロシア大会も、今回と同じ第3戦ポーランド戦で初先発。しかし、気負いから空回りし、0-1で敗れた試合の中で何もできなかった。「自分の力のなさを痛感した」。悔しさを胸に大会後、ニューカッスル移籍。4年契約で世界最高峰のプレミアリーグに飛び込み、10月のマンチェスターU戦で初先発初ゴール。「成長できた。大舞台でも緊張しないメンタルがついたので、前向きだけど力みすぎず点を取れたら」。狙い通り森保ジャパンでも初先発初ゴールを決め、大迫1強のワントップ争いで存在感を示した。【木下淳】