20年東京オリンピック(五輪)の中核となるU-22日本代表が8-0と圧勝発進した。

マカオ戦の後半途中から出場した大学生FW上田綺世(20=法大)が、ハットトリックを達成。39度の炎天下、21年に鹿島入団が内定している東京五輪のエース候補が存在感をみせつけた。次は24日に東ティモールと対戦する。

灼熱(しゃくねつ)のミャンマーの地で、上田がチームの起爆剤となった。スコアレスで折り返した後半開始から登場すると、チーム2点目となる後半9分のゴールを皮切りに一気の3得点をマークした。8得点の大勝劇をけん引し「(途中出場で)流れを引き寄せることを心掛けた。次もチームの勝利に貢献したい」と冷静に振り返った。

暑さに苦しむチームを勢いづけた。試合開始時点でスタジアム周辺の気温は39度。東京五輪を想定した戦いとしては十分過ぎる暑さに、選手らの動きは重かった。ゴール前で引いて守る相手にもてこずり、前半は無得点。後半開始から上田が1枚目の交代カードとして投入されるとリズムを取り戻し、試合展開は日本の怒濤(どとう)のゴールラッシュへと一変した。

フィールドプレーヤーとしては唯一の大学生FWとしての意地もある。中学時代は鹿島の下部組織に所属するも、ユースへの昇格はかなわず、鹿島学園から法大へと進学。180センチの体を巧みに使うプレーと抜群の得点感覚で東京五輪を目指す代表チームへ名を連ねた。21年の鹿島加入も内定し、今季のJリーグ特別指定選手にも選ばれた。鹿島での練習も経験した。「サッカーは違うけど原理原則は変わらない。僕の特長は得点。そこはどこのクラブでも出せる」と自信を確信に変えた。

この試合でも1点目はグラウンダーのクロスボールにダイレクトで合わせ、続く2点目は相手を背負いながら浮き球を胸トラップしてネットを揺らした。3点目のシュートはスルーパスに抜け出し、相手をフェイントで巧みにかわして沈めた。全3得点に技術が詰まっていたが「自分の特徴を理解してやってくれたチームメートに感謝したい」と控えめに話した。伸び盛りの20歳が、東京五輪のエースになる。