お茶の間でのサッカー視聴方法が、ターニングポイントを迎えた。ワールドカップ(W杯)カタール大会に向けた今回のアジア最終予選から、日本のアウェー戦は、国内で地上波での放送が消滅した。スポーツ専門配信サービス、DAZN(ダゾーン)による独占配信となり、7日(日本時間8日未明)の日本の第2戦、中国戦(カタール・ドーハ)で、ついに、その瞬間がやってくる。

DAZNは「裏チャンネル」の開設など、DAZNだからこその工夫で視聴者にサッカーの魅力を伝えようとしている。10月7日のサウジアラビアとの第3戦もアウェーで、DAZNのみの配信となる。日本中が注目する最終予選の取り組みをDAZNに聞いた。

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17年にJリーグの全試合配信をスタートしてさせて4年がたつ。今や、サッカーファンにもすっかり定着したDAZN。ついに、日本代表のW杯に向けた最終予選を配信するまでになった。中継だけにとどまらないのが強みでもある。日本がまさかの敗戦を喫した2日のオマーンとの初戦では、生配信とは別に、「裏チャンネル」を開設し中村憲剛氏と岩政大樹氏の元日本代表コンビを起用。「中継画面」「セレクト画面」「憲剛・岩政カメラ」の3つの映像のもと、独自の戦術解説も繰り広げ、話題になった。

DAZNは、日刊スポーツの取材に「日本戦では、試合後も監督・選手のインタビューや解説陣による試合の振り返りをたっぷりお届けするよう心がけています。編成面での制約が少ないのも特性」とコメント。独占配信となる中国戦も、裏で矢部浩之氏と内田篤人氏による「やべっち・内田の裏チャンネル」を配信する。現地設置の独自カメラ映像で2人がトークを行う。

DAZNは今回の最終予選の制作にあたり「真摯(しんし)にサッカーに向き合うこと」「選手の心技体に向き合うこと」「新たな視聴体験」の3点を柱に掲げたという。オマーン戦の「裏チャンネル」は、中村氏と岩政氏の「こういう映像で戦術について語りたい」とのアイデアを採用して実現させた。「居酒屋で、自分のすぐ隣のテーブルで2人が話しているのを聞いているような気分になった」などというファンの声もあり好評。DAZNは「新しい臨場感を提供できたのではと思っています」。

ただ、これが完成形ではないという。「良かった部分、課題が残った部分がいろいろとあります。ファンの声も大いに参考にして、次にどう形を変えていくか」と話す。地上波とは違う視聴体験が、DAZNの革命だ。【岩田千代巳】

◆DAZN(ダゾーン) 16年に英動画配信大手パフォーム・グループ(現DAZNグループ)が立ち上げた、スポーツ専門定額制の動画配信サービス。Jリーグとは10年2100億円超という、巨額の契約を結び、17年からJ1、J2、J3の全試合を配信中。21年8月にアジア・サッカー連盟(AFC)との間で28年までの長期契約を結び、W杯アジア予選、アジア杯、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)など14の大会の放送権を取得した。国内外のサッカーに加え、野球、バレーボール、テニスなど130以上のスポーツコンテンツ、年間1万試合以上が見放題。日本では、月額1925円(税込み)。

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