日本代表のハビエル・アギーレ新監督(55)が、11日に来日し、都内のホテルで記者会見を行った。

 アギーレ新監督は日本代表のスーツに身を包み、日本サッカー協会の大仁邦弥会長、原博実専務理事とともに登壇、約1時間におよぶ報道陣の質問にスペイン語で答えた。

 一問一答は以下の通り(一部抜粋)。

 ―選手の選考基準について。コミニケーションに大事な言葉の問題について

 アギーレ監督

 将来性のある選手を選びたい。代表に意欲があり、国を背負う気持ちを持っている選手を選びたい。自分個人ではなく、チームとしてプレーできる選手、試合に貢献できるプレーヤーを選びたい。

 言葉(日本語)ができないということは障害にはならない。ボールが共通語だと認識している。通訳の手を借りることもあるし、問題ないと思っている。

 ―日本は世界のトップとどれだけの差があるか?その差は何か

 アギーレ監督

 トップの国はおそらく4~5カ国。ドイツ、ブラジル、イングランド、スペイン、イタリア…。この4~5カ国は、世界レベルのタイトルを取ったことのある国。技術的に素晴らしく、いい選手がいても、例えばオランダはタイトルがなかったりする。唯一の違いはタイトルがあるか、ないか、それだけ。

 ―日本はW杯ブラジル大会でなぜ勝てなかったのか?

 アギーレ監督

 メキシコのテレビ局の仕事でブラジルに行っていたので、日本代表の試合は見ました。私は過去について、コメントするのは好きではない。前監督のしたことについて、誤解を招きたくないからだ。(代表は)競い合って、切磋琢磨していくチームにしたい。相手がどんなチームでも、競い合うチームにしたい。

 ―代表監督を引き受けるに当たり何が魅力だったのか?今後の強化ポイント、戦略は

 アギーレ監督

 非常にオファーの内容が真摯的な内容だったので魅力を感じた。ロシアW杯を目指して頑張りたいというプロジェクトに魅力を感じた。4年前に(代表監督へ)声を掛けてくれて、また、声を掛けてくれたのことは、まじめに考えてくれていると感じた。

 日本はメキシコのプレースタイルに似ている。ボールのハンドリングであったり、バランスの考え方だったり。(強化は)ディフェンス、守備に力を入れる。自分は守備を固めて勝利を目指したいと思っている。ボールを共通語にして、競争力を伸ばしていってほしいと思っている。

 ―ロシアW杯までの4年間のキーワード

 アギーレ監督

 日本語でスペイン語と同じ意味のニュアンスになるか分からないが、コミットしたいと思っている。

 ―選手選考にあたり、具体的な観察ポイントは?原専務理事へ、正式な就任はいつ

 アギーレ監督

 とにかく、実際、見ることを重要視したい。すべての選手に対し、ドアは開いている。とにかく選手を見る。その選手の技量を分析したい。試合中以外の時間でも、どのような行動を取るか見ていきたい。選考はプロセスに時間がかかる。(5日のウルグアイ戦など)次に招集したからといって、長期にわたり(代表と)いうわけではない。目の前の目標はアジアカップになるが、それを見極めながら選手を選んでいきたい。

 原専務理事

 正式契約は今日です。サインしてもらいました。7月22日に仮契約、24日の理事会で承認してもらった。

 ―理想のDF像は。スピード、強さ、何を重視するのか

 アギーレ監督

 ディフェンスというより、バランスを重視したい。守ることも攻めることもできる選手を求めている。守れることは重要、ボールを奪うこと、そして、的確にボールを拾って上がっていくことは重要。守るということはディフェンスだけではない。FWにも、MFにも求めたい。DFは4~5人じゃない。イレブン全員が守れて、攻められるチームを目指します。

 ―フォーメーションは?

 アギーレ監督

 システムに関しては、試合の展開の仕方で変化していく。(DFは)3人のときも4人、5人のときもある。4-3-3、5-2-3に変化したり、ほかの形に進化することも。FWも2人じゃなく3人のときもあるし、試合状況に応じてフレキシブルにしようと思っている。基本ベースは、4-3-3。試合展開次第で、3-4-3にも変えていきたい。

 ―目標はロシアW杯だと思うが、日本はこれまで決勝トーナメント1回戦が最高成績。日本がそれ以上にいける可能性はあるか?原専務理事に、ザッケローニのときは攻撃サッカーをやってきたと思うが、それを継承できるのか、信頼感はあるか?

 アギーレ監督

 日本はロシアW杯に進むポテンシャルのあるチーム。過去にもW杯の本戦に進んでいる。レベルもよくなっている。五輪世代をロンドンで見たけど、非常に優秀な選手がいるし、リオ(五輪)を目指して頑張ってもらいたい。ヨーロッパで非常にいい仕事をしている選手もいる。(代表監督は)価値あるプロジェクトだと思って引き受けた。日本は人的資源というか、いい選手がそろっている。

 原専務理事

 ザックのときも守備をやっていないわけではない。守備のその上にどう攻撃を仕掛けていくかをやってきた。(アギーレは)代表監督の経験もあるし、クラブ監督の経験もある。W杯南アフリカ大会の後、サラゴサとエスパニョールを引き受け、守備を立て直して、チームを残留させ、難しい作業をやってきた。彼であれば、今まで以上のバランスを見い出してくれると思う。

 ―サッカー界から見れば、日本はW杯本戦に数回しかいったことのない若い国。今までアギーレが務めた代表監督のときと状況は違う

 アギーレ監督

 今回の日本代表監督は、私のキャリアの中で、大きなチャレンジ。人間は日々学んでいく。頑張っていきたい。スペインリーグやほかの代表監督の話もあったが、原さんが2010年に霜田さんと声を掛けてくれたし、今回、再度、声を掛けてくれた。その間、私の仕事を見てくれたことが今回の決断になった。