日本がアジアサッカーの主導権争いに敗れた。アジア連盟(AFC)は8日、クアラルンプールで総会を開き、AFC選出の国際サッカー連盟(FIFA)理事に現職のビン・ハマムAFC会長(60=カタール)の再選を決めた。対抗馬として激しく争ったシェイク・サルマン氏(43=バーレーン)が、21-23の2票差で敗れたことで、同氏を強く推してきた日本の立場が苦しくなるのも確実。18、22年のW杯招致に影響する可能性も出てきた。

 サルマン氏支持を公言してきた日本にとっては、あまりに痛い敗戦だ。60歳の誕生日のこの日に再戦を果たしたハマム氏は「ベストを尽くして、信頼を取り戻したい」と「不信任」の21票を意識して話し「アジアのためには(サルマン派とも)協力が必要」と力説した。しかし、これまでAFCの運営で豪腕を見せてきた同氏だけに「報復」の可能性は否定できない。

 日本の発言力低下とともに、心配されるのは18、22年W杯招致への影響。投票権を持つ24人のFIFA理事に、サルマン氏を送り込めなかったのは誤算だ。24分の1というだけでなく、5カ国が招致意思を示すアジアで「一本化しよう」となった場合、反ハマムの日本や韓国は不利。ハマム氏のカタールや早々と「再戦を歓迎する」会長声明を出したオーストラリアの方が「アジア代表」に近い。

 ACL改革などを進めてきたハマム氏だが、批判も多かった。日本が提唱するユース育成費の増額などには消極的で、日本のスポンサーに頼りながらも財政運用が不透明なことなども問題視された。日本は東アジアの中心となって積極的にサルマン氏を支持。それだけに、日本協会の犬飼会長は出発前「負けたら、何をされるか分からない」と不安も口にしていた。

 FIFA理事でもある日本協会の小倉副会長は「約半分が(ハマム氏)不支持だった。彼も何かを感じただろうし、悪い方向には行かないだろう」と話した。ハマム氏の独断専行を監視するための法務委員会の新設が決まり、同氏が画策したマレーシアのAFC本部移転も消滅した。しかし、泥沼の選挙戦で日本が敗れたのは事実。「サルマン氏を推してきたので残念」と小倉副会長は話したが、選挙戦に敗れた代償は決して小さくはない。