岡田ジャパンの総力を挙げて、18歳のMF山田直輝(浦和)を「育成」する。サッカー日本代表は29日、キリン杯ベルギー戦(31日、国立)に向けて、故障や体調不良で離脱していた主力も合流し、都内で練習を再開した。選手の多くは、27日の同杯チリ戦で代表デビューし、6月6日のW杯アジア最終予選ウズベキスタン戦(タシケント)の戦力として台頭した新星を注視。山田がうまくコミュニケーションを取れるような雰囲気づくりに着手した。

 新星への期待の表れだった。中村俊や闘莉王ら主力が合流した都内での練習初日。淡々と練習をこなす山田に、周囲から自然と声がかかった。パス回しでは「ナオキ、ナオキ」と名前を呼ばれ、快足を飛ばしてクロスを上げれば「おぉ」と盛り上がった。練習後には、控室前で顔を合わせた槙野から「垂れてきちまったあ」と雨にぬれたモヒカン頭を見せられ、吹き出した。

 チリ戦でゴールをアシストするなど、上々の代表デビューを果たした山田を「ファミリー」として迎え入れる雰囲気が漂う。豊富な運動量と攻撃センスに期待が高まるが、今季浦和ユースからトップ昇格したばかりのプロ1年目。いきなり一流選手の輪に加わり、しかも、W杯出場権獲得に王手をかけたウズベキスタン戦を間近に控える状況では、どうしても遠慮がちになる。「まだ若手としか話してません。コミュニケーションをとりながら、一緒にボールに触れるかが大事だと思います」。そんな控えめな平成生まれのルーキーに、周囲もサポートを約束した。

 中村俊が「18歳で代表に入っている時点で素晴らしい。(自分のプレーを)客観的に見れている。伸びるタイプ」と注目すれば、遠藤は「食事のときとか来てくれれば、オレとか俊輔は喜んでいろいろ教える。遠慮しないで、どんどん聞いてほしい」という。昨年1月に19歳305日の若さで代表デビューした内田も、当時の自分に姿を重ね「若いということをいい材料にしてほしい。オレのときも、佑二さん(中沢)が責任を取ってくれた。もっと自由にやっていい」と必要以上に重圧や責任を感じないよう、助言するつもりだ。

 ベンチスタートが濃厚なベルギー戦は、ウズベキスタン戦でのベンチ登録メンバー入りがかかる。「どこのチームに来ても同じようにやっていければと思います」と気を引き締める山田は、先輩たちの温かい心遣いを受け止め大事な戦いに挑む。【山下健二郎】