日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(57)が、J1全試合をチェックし、新チームを作る。同監督は17日、イタリアからスタッフ4人を引き連れて再来日した。真価が問われる来年1月のアジア杯にベストチームを作るべく、年内は全スタッフを各会場に派遣し、監督自身も30試合以上直接足を運ぶ。18日は名古屋、大阪のダブルヘッダーに挑むなど、軽いフットワークで原石を探し、日本代表をザック色に染める。

 イタリアから約12時間のフライトにも、疲れた表情は見せなかった。おなじみのジーパン姿で報道陣の前に立ったザッケローニ監督は晴れ晴れと、口を開いた。

 ザッケローニ監督

 前回来日した時よりさらにハッピーだ。前回は日数も少なかったし、やりたいことを100%できなかった。ビザも下りたし、これから日本をベースに生活できる。さっそく明日からJリーグを視察し、自分の目で選手を選んでいきます。

 今節は2日間、名古屋、大阪、新潟で3試合を視察する。他の試合はチームザックのイタリア人コーチ4人と日本人スタッフ4人でカバーさせる。特に、今節はJ2も1試合、大学の試合も1試合派遣する。J1は広島-神戸戦以外は全試合カバーするが、原博実強化担当技術委員長は「監督はできるだけ、自分の目で試合を見たいと言っている、今回は来日してすぐだし、移動の疲労も考えて技術委員会で視察日程を決めたが、今後はJ1は全会場にスタッフが行くことになる」と話した。

 軽いフットワークを表すように、この日会見に臨んだ監督を含む5人のイタリア人スタッフは全員、ジーパン姿の軽装だった。今後は、関塚コーチら日本人スタッフも加え、計9人でJ1全試合、ナビスコ杯、天皇杯をフルカバーする。今季、監督自ら足を運べるのは30試合程度だが、他の試合はスタッフの報告とビデオでチェック。さらに若手発掘のため、監督自らJ視察とともに、U-21代表が出場するアジア大会(中国・広州)も掛け持ち視察する予定だ。

 ザッケローニ監督

 Jはすべて見る。代表に入る可能性がある選手を探すのが私の仕事です。新しい可能性のある選手も見ていく。ピッチ上の結果次第で、すべての選手に代表の門戸は広がっています。

 当面の目標は来年1月のアジア杯で3位以内に入ること。最終的には14年W杯ブラジル大会で8強以上の成績を収めることだが、お披露目はアルゼンチン戦(10月8日、埼玉)。「最初はW杯メンバーがベースになるだろう。日本の実力を試してみたい。同時にアルゼンチン戦から新しいチームを作るチャレンジが始まる」。

 攻撃サッカーを好むと言われる同監督だが、具体的なシステムなどは明言していない。ザック流戦法はベールに包まれたままだが、水をも漏らさぬ視察網で、最強チームを作り上げるのが、ザック流だ。【盧載鎭】