ザックジャパンの初陣フォーメーションは、FW本田圭佑(24=CSKAモスクワ)をトップ下に入れた「4-3-3」に決まった。アルベルト・ザッケローニ監督(57)率いる日本代表の合宿2日目の5日、完全非公開の中で紅白戦が行われた。チームは主力と控え組が混在する構成だったが、FW招集された本田圭は前線3人を操るトップ下、FW香川真司(21=ドルトムント)が左ウイングに入ることが分かった。攻撃サッカーを掲げるザックジャパンは、同監督が視察したパラグアイ戦、グアテマラ戦のシステムと同じ形で船出する。

 ザッケローニ監督は、フィジカル中心で終えた午前練習とはうって変わり、非公開とした午後練習で踏み込んだ戦術練習に取り掛かった。グラウンドには、負傷で調整中のDF闘莉王を除き、早朝に帰国した本田圭、香川も加わったザックジャパン全員が集合。4日に4バックを想定し、DF陣だけで確認した守備戦術を、FW、MFも含めたチーム全体に広げて再確認した。

 選手は2チームに分かれ、フォーメーションは「4-3-3」。レギュラーが確実視される本田圭と香川が別々のチームに入るなど、主力と控え組が混在するチーム構成だったが、ポジションを見ればザッケローニ監督の“意志”が明確に読みとれた。

 1トップや、ウイングに入ることも予想された本田圭は、念願の司令塔の役割を与えられた。ダブルボランチの前に位置をとるトップ下だ。W杯南ア大会は1トップで結果を出したが、違和感を否定はしなかった。ロシア移籍後、ボランチで起用され不満を示すなど、ポジションには強いこだわりを持つ。前線3人を操りながら、自分もゴール前に飛び込んでいけるトップ下は、かねて熱望していたポジション。そこで、念願の「10番」を手に入れるべくプレーできる。

 ザックジャパンのエース候補の香川も、武器のスピードと決定力を生かせるポジションを与えられた。3トップの一角、左ウイングに入る。突破力を生かして常にゴールに絡むことが期待されるポジションだ。香川は、同監督が視察したパラグアイ戦でゴールを決めたほか、移籍先のドイツでもゴールを量産中。攻撃志向の新指揮官も、チームに欠かせない存在として、能力を最大限に生かせる“適所”を選んだようだ。

 この日は、守備戦術を確認した後に行った紅白戦でも、両チームともシステムは「4-3-3」を採用した。合流したばかりの本田圭は参加しなかったが、同システムに対する同監督の強いこだわりがうかがい知れた。6日には攻撃の戦術を確認する紅白戦を行う。新指揮官の本領がいよいよ発揮される。【松田秀彦】