<親善試合:韓国0-0日本>◇12日◇ソウル

 大波のように押し寄せる韓国の攻撃を体ではね返した。中央を固め、粘り強い守備で2連敗中のライバルをアウェーで完封。DF今野泰幸(27=東京)は「攻められる時間帯があるというのは分かっていた。あれだけ攻められて、よくしのげたと思う」と満足げに振り返った。

 「ザック流カテナチオ」の一端を見せた。劣勢に立たされた後半27分だ。FW香川に替えて守備的MF細貝を投入。攻撃陣を減らし、守備陣を増やす。「中盤の底に入って守備することでセンターバックを助けろと言われた」と話す細貝をアンカーに配置。細貝を中心とした3ボランチで、ザッケローニ監督は敵地での一戦をゼロで終わらせる策に打って出た。

 指揮官の意向を受け、中盤のバランスを取ったのが、国際Aマッチ100試合出場のMF遠藤保仁(30=G大阪)だ。「いきなりアンカーに入ったので…」と戸惑う細貝に声をかけ、ポジショニングの距離感やプレスのタイミングを指示。3ボランチの左に入り「前へ行く時と守る時のメリハリを考えた」。守備を重視しすぎると、相手に押し込まれる。それを避けるため要所で前に飛び出し、攻撃を仕掛けた。

 これまで日本は終盤の失点で煮え湯を飲まされた試合が数多くあった。だが、堅守の国イタリア生まれのザッケローニ監督がこの日示した守備固めの戦術を、ピッチ内の選手が実践。後半13分に絶体絶命の場面をゴールライン上でクリアしたDF長友も「アウェーで最後まで守り切れてよかった」と、封じきった結果を強調した。

 今野が「(監督が言う)できるだけコンパクトにラインの上げ下げができた」と話せば、遠藤も「守備は安定してきたと思う」と重ねた。来年1月のアジア杯、7月の南米選手権、その後のW杯予選…。日本はこの日、押し込まれる時間帯にゼロで試合を終わらせる「ザック流カテナチオ」完成への布石を打った。