「ザック個別指導塾」開校で日本を世界レベルに引き上げる。日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(57)は韓国戦から一夜明けた13日に帰国した。代表チーム関係者によると、同監督は選手との濃密なコミュニケーションを希望。アジア杯(来年1月7日開幕、カタール)直前、12月中旬に予定する強化合宿では、ピッチ内外での直撃質問を大歓迎。名選手の指導秘話を惜しげもなく、日本代表イレブンのために披露する。

 イタリアの名将が就任して1カ月半。まだ、監督に率先して話し掛ける選手は少ない。ザック先生は世界の名だたる名手を指導した「知識の宝庫」。それを無駄にする手はない。

 DF長友ならイタリアの歴史的左サイドバックのマルディーニ、FW森本ならDFの裏を突き抜けるシェフチェンコ、新進気鋭MF細貝なら中盤のつぶし屋ガットゥーゾ…。すべてザック先生が指導してきた。その経験と知識は選手に伝えるだけで大きな力になる。

 代表チーム関係者は「監督はもっと選手に質問してほしいと話していた。ピッチ内外で積極的に来てくれれば、自分の経験をもとに可能な限り答えられるということだろう」と、ザック先生の思いを代弁した。

 7日午前の練習後。179センチとセンターバックとしては小柄のDF伊野波が、セリエAで活躍し目標とする173センチのインテルミラノDFコルドバについて質問した。

 伊野波

 監督が指導したコルドバについて教えてください。

 ザック先生

 コルドバは誰よりも早く練習場に来て、誰よりも遅くまで残る。そのプロ意識は見習うべきだ。

 伊野波

 特徴などは?

 ザック先生

 ボールを持たない選手への対処は別格だが、ボールを持った選手への対処は君の方がうまいぞ。君は能力があるからもっと自信を持てばいい。

 ピッチ上で約10分間受けた熱血指導に、伊野波は「懇切丁寧に分かりやすく教えてくれた」と感激した。

 会話を重視するザック先生は、韓国戦後に選手を前に「この2カ月は君たちと会えないが、私たちはいつも見ている」とメッセージを伝えた。今度は、選手が胸襟を開いてザック先生と向き合う番だ。【菅家大輔】