【広州(中国)6日=鎌田直秀】明日8日にアジア大会初戦の1次リーグ中国戦に臨むU-21(21歳以下)日本代表に、またも試練がおとずれた。通常は試合前日に会場で公式練習を行うが、大会組織委員会から芝の状態確保を理由に「スパイク禁止、ボール使用禁止」という前代未聞の通達がなされた。急きょ日本協会は代替会場を検討し始めたが、確保できるかは未確定な状況だ。この日は、中国入り後初練習を行った。厳しいセキュリティーチェックなど、アウェーの戦いはサッカー以外でも重くのしかかってきた。

 関塚ジャパンが、今日7日の天河体育場での前日練習中止を余儀なくされた。この日の練習前に行われた大会代表者会議で前代未聞の「スパイク着用禁止、ボール使用禁止」の通告が大会組織委員会から発表された。男女サッカー競技の過密日程のため芝状態を確保することが理由とされた。

 会議に出席したチームリーダーの原博実委員長(52)は「それはおかしい、という要求はしたが受け入れなかった。いろいろ言いたいことはあるけど、全チーム同条件なので仕方がない部分もある。しかし、何もできないのでは行っても意味がない。違う場所でできるように相談しています」と困惑の表情だった。

 関塚隆監督(50)は「あさって(中国戦)に向けて、どんな環境でも自分たちの力を出すしかない」と気丈に振る舞った。この日は、大会から指定された地元の中学校グラウンドで約1時間半の練習。入校する際も入念なセキュリティーチェックがなされた。各所での厳重警備が続き、選手たちからは「またかよ~」と嫌気の差す声もあった。

 グラウンド自体は天然芝のため練習に支障はなかったが、学校屋上などから警備員約20人が視線を注ぐ緊迫ムード。FW永井が「全然気が付きませんでした」とおとぼけぶりを発揮する一方、MF水沼は「身を守ってくれていると割り切っています」と語った。中国テレビ局も“敵情視察”に訪れ「香川はどうして選ばれなかったのか」など、報道陣に質問する一幕もあった。

 選手村では中国代表のビデオを見るなど研究。永井は「開催国とやるのは非常に楽しみ。ブーイングもめったにない経験」と前向きだ。大学生を含む若者集団は、アウェーの環境を糧にするしかない。