代表戦報酬などを巡り日本サッカー協会と対立している日本プロサッカー選手会(JPFA)の清岡哲朗執行役員(40)は20日、東京・文京区のJFAハウスで会見し、今日21日の日本協会との弁護士同士による第1回交渉で、親善試合のボイコットも辞さない意思を直接伝えることを明かした。その上で、世界基準と比べて低すぎる代表戦の勝利給の改善や、選手の肖像権料の分配などを訴える。また清岡氏は来年以降JPFAが労働組合化に向けて動きだすことも明言した。

 日本代表選手の「地位向上」を求めた戦いのゴングが今日21日、いよいよ鳴り響く。清岡氏はこの日「21日にJPFA側は私と顧問弁護士、日本協会側は弁護士ともう1人が話し合います。日本協会には(親善試合)ボイコットという表現は明確に伝えていないが、明日の(話し合いの)流れによっては伝えることになる」と明言。ボイコットという「切り札」を提示する意向を示した。

 要求内容は明確だ。まずは「(10月の)アルゼンチン戦でも勝利給は20万円だった」という代表戦の勝利給などのボーナスの金額アップ。欧州トップリーグの強豪クラブでは勝利給100万円前後が基準とされており、それに追随する額を要求する。W杯で日本が得た賞金の選手への分配率は25%程度だったが、オーストラリアやニュージーランドでも50%に達しているだけに「ボーナスは勝つともらえるもの。まずはその水準に達したい」と話した。

 さらに代表選手の肖像権を日本協会がポスターやグッズなどに使用した場合、現在は肖像権料の選手への分配はゼロだが、その分配も求める。同氏は「日本は上を目指すためにも欧州と並ばないと」と代表選手の環境改善を強く訴えた。

 「銭闘」開始に際し、既に代表の海外組には個別に連絡を取り「共闘」を確認。18日にはMF本田圭とも直接対話をした。アジア杯(来年1月、カタール)に向けた国内合宿が始まる27日には国内組とも意思統一を図る。「選手の総意を1つにすることが大事」とキッパリ言い切った。

 来年1月にはJPFAの労働組合化へも動き始める。組合化することで、現在よりも明確な組織として日本協会との闘争を進めることができる。ボイコットとなればサポーターの反発も起こりうるが、清岡氏は「サポーターにも状況を説明する場をつくりたい。我々は一切引くつもりはない」。アジア杯を前に、もう1つの戦いが幕を開ける。【菅家大輔】