<国際親善試合:クウェート3-0日本>◇9日◇クウェート

 U-22(22歳以下)日本代表が中東の恐ろしさを味わった。クウェート代表と強化試合を行い完敗した。当初予定されていたU-22サウジアラビア戦が中止になり、急きょ組まれた試合。1月アジア杯の控え組中心で編成された相手に防戦一方の展開で、前半42分に失点すると、後半にも2失点した。中東勢と対戦の可能性がある6月のロンドン五輪2次予選に向け、不安だけが残る試合となった。12日にはU-22バーレーン代表と対戦する。

 五輪予選の中東対策として挑んだ遠征初戦。あまりの完敗ぶりに、関塚監督の表情は険しさに満ちた。「こういうのを予選でやっていたら大変なこと。課題とかじゃなくてすべての面で締め直さないといけない」。昨年10月に関塚ジャパンを立ち上げてから練習試合を含めて11戦目での初黒星となったが、「敗戦とかじゃないです」と一蹴。警戒していた個人技に対応できず、終始圧倒された展開に危機感をあらわにした。

 序盤から左サイドにウイングのように張り出すMFインジのスピードに乗ったドリブルに苦しむ。前半10分までに「五輪代表」初先発の右サイドバック岡本が1対1で2度も抜かれた。防戦一方のまま前半42分に、日本のCKからの逆襲を受けて先制点を献上。MFインジに約40メートルの独走を許し、ゴール正面でFWアゼミに合わせられた。後半も流れは変わらず10分、32分といずれもサイドを破られて失点を重ねた。

 センターバックの浜田は「連係に不安があった」と振り返った。昨年11月の広州アジア大会で金メダルを獲得した選手11人に、新たに11人を選出して挑んだ今回の遠征。どこでボールを取るかの共通理解もなかった。アジア大会では7戦1失点の堅固な守備を誇ったが、崩壊した。

 攻撃面でも決定機は作れなかった。アジア大会得点王のFW永井は「グラウンドのボールのはじき具合が違う。下が硬くてそれに慣れてない」とアウェー環境の怖さを説明した。後半15分には昨季Jリーグ新人王のMF宇佐美がこの世代の代表デビューを飾ったが、ゴールには至らなかった。

 当初予定していたサウジアラビア戦が中止になったのは、日本を出発した4日。7日にクウェートとの対戦が決定。移動の日程を再調整し、8日夜に飛行機を乗り継ぎクウェート入り。予期せぬ“中東の洗礼”も味わった。6月の五輪2次予選ではホームアンドアウェーの勝負で最終予選進出国が決まる。同じ失態を繰り返せば、ロンドンへの道は絶望的になる。

 関塚監督は「身をもって体験できたのは大きい。次に改善していくのが大事。その言葉に尽きます」と最後まで厳しい表情のままだった。【阿部健吾】