<女子W杯:日本2-2(PK3-1)米国>◇決勝◇17日◇ドイツ・フランクフルト

 なでしこジャパンはFIFA(国際サッカー連盟)ランク1位の米国をPK戦の末破り、FIFA主催大会で男女を通じ史上初の優勝という快挙を達成した。

 日本待望の大型DF熊谷紗希(20=フランクフルト)が、PK戦で4人目のキッカーを任され、「世界一のPK」を突き刺した。チーム最長身の171センチで、先発ではチーム最年少。ピッチでは決死の守備で米国代表エースFWアビー・ワンバック(31)に挑んだ。10センチ差で181センチのワンバックに対し、ほぼマンマークで食らい付き、1点こそ許したが120分通じて互角の戦いを演じた。

 世界一となった瞬間、熊谷はGK海堀に抱きついた。「自分が蹴るとは思ってなかったのでびっくりした。責任はあったけど、気負うことなくリラックスして蹴れた」と振り返った。

 7月から移籍するフランクフルトの地で躍動した。中学時代に所属したクラブフィールズリンダの後藤政実監督(47)は「自分に厳しい子」と評する。試合のリポートを課すと、課題と収穫をきめ細かに書いて提出してきたという。大会前、父敏夫さん(54)には「今度の所属先はドイツなので、アピールしてくるよ」と誓って挑んだ大舞台。

 期待の大型DFは、中学時代はボランチでプレーし、足元の技術も兼ね備える。「相手との駆け引き、スピードやパワーアップが課題」。20歳の熊谷は世界一にも満足していなかった。