ロンドン五輪への第1歩となる、なでしこジャパン候補合同合宿が9日、和歌山県内で始動した。この日はU-20(20歳以下)、U-17日本代表のみの参加。U-20FW横山久美(18=十文字高)は、29日から開催されるアルガルベ杯(ポルトガル)へ向け「絶対(代表に)入りたい」と言った。代表入りすれば、秒読み段階のイングランド強豪アーセナル入団にも大きく弾みがつく。初日は体力測定など軽めのメニュー。今日10日からMF宮間あや(27=岡山湯郷)らなでしこジャパンメンバーが加わり、総勢76人の大合宿となる。

 FW横山の視線はサッカーの母国・イングランドを向いている。「ロンドン五輪は高校に入学した時くらいからの目標です」。今合宿にかける思いは人一倍強い。

 初日は代表合宿恒例の体力測定だった。だが佐々木監督の前で、INAC神戸MF仲田とのパス練習では、力みすぎてミスするほど、気迫をこめた。「正直今日はダメでした。この5日間でドリブルを見てほしい。佐々木監督から言われていた前線からのプレスもだいぶ体力がついてボールを追えるようになってきたと思う」。FIFA(国際サッカー連盟)年間最優秀ゴール賞にノミネートされた一昨年のU-17女子W杯の5人抜きゴールなど「女メッシ」と評された長所が売りだ。

 アルガルベ杯でのなでしこジャパン入りは、交渉が最終段階に入っているアーセナルレディース入りに追い風になる。「行くなら向こうで語学も学びたい」。同クラブはアマチュアのため、プロ契約の可能性は極めて低く、条件面の問題もある。DF鮫島など海外組に日本協会から支給される一日1万円の海外強化指定選手制度は「なでしこジャパン選手」が条件。

 横山としては、何としてでも代表入りを果たしたい。ハーベイ監督からは「細かいドリブルで相手をかわしシュートまで持っていく技術はすぐにでも通用する」と高評価。条件面がクリアされれば、移籍決定への障害はなくなる。

 高校3年間、学校近くの祖母の家に下宿。孫のなでしこ入りを願い弁当や食事で支えてくれた祖母への感謝の気持ちは強い。「おばあちゃんや両親をロンドンに連れて行きたいんです」。今回の合宿に懸けている。【鎌田直秀】