日本協会は17日、キリンチャレンジ杯2012アイスランド戦(24日、長居)の日本代表メンバー25人を発表し、京都の高校生FW久保裕也(18)を初招集した。29日のW杯3次予選ウズベキスタン戦(豊田ス)に向け、U-23(23歳以下)日本代表にも選ばれていないストライカーを、飛び級で抜てきした。京都の鹿児島合宿から大阪に戻った久保は「出るからには点を取りたい」と、代表最年少ゴールに意欲十分。久保を含め5人が初招集となった。

 夢にも思わなかった「代表選出」だった。伊丹空港に降り立った久保は、ひょうひょうとした表情ながら、素直な驚きを口にした。

 久保

 びっくりしました。23歳ぐらいまでに選ばれればいいかな、と思っていたので。代表の試合はサポーターとしてしか見たことがないので想像つかない。

 ロンドン五輪出場権を争うU-23(23歳以下)代表を飛び越えての招集だ。ザッケローニ監督は、スタッフが集めた映像を通してゴールへの飛び抜けた嗅覚、フィジカルの強さに注目。「持っているものがいい。さらなるクオリティーを追加すればもっと伸びるだろう」と話した。

 全てにおいて規格外の男だ。高校2年だった一昨年、チーム史上最年少で2種登録となりトップチームに同行。デビュー戦となった昨年4月24日の岡山戦でいきなりゴールを挙げた。6月12日の大分戦は2ゴール。17歳5カ月19日でのマルチ得点はJ2史上最年少記録となった。

 昨年度の天皇杯でも驚かせた。12月29日の準決勝・横浜戦で途中出場し、延長後半11分に決勝ゴール。敗れた決勝でも1ゴール。常々「FWは点を取るのが仕事」と話す通り、勝負強さを証明した。

 好調を持続している。前日16日、鹿児島で行われた磐田との練習試合ではハットトリック。この日も中国・杭州緑城との試合で1ゴールを決めた。「調子は悪くない」と胸を張る。

 代表戦に出場すれば98年4月1日、韓国戦に出場した水戸DF市川に次ぐ歴代2位の年少記録。得点を決めれば77年6月15日、韓国戦で金田喜稔(54=現解説者)が決めた19歳119日を大きく更新し、18歳62日の最年少記録となる。

 アイスランド戦は、29日のW杯3次予選ウズベキスタン戦に向けた試金石。国内組のみの招集で、新たな戦力発掘の意味合いがある。久保がゴールを決めれば、ザックジャパンに大きな刺激を与えるだけでなく、本番に向けた秘密兵器として大きなアピールとなる。

 久保

 (代表でも)出られたらいつも通りのプレーをするだけ。常にゴールは狙っていきたい。

 海外への憧れも強い。昨年12月にはドイツ1部ホッフェンハイムに短期留学。わずか10日ほどだったが、海外の空気を肌で感じた。自らの無限の可能性を、代表デビュー戦にぶつける。【土谷美樹】<久保裕也(くぼ・ゆうや)プロフィル>

 ▼生まれ

 1993年(平5)12月24日、山口市生まれ。

 ▼ユース

 FC山口でサッカーを始め、山口鴻南中卒業後、京都ユースへ。現在は立命館宇治高に通いながらトップチームに参加。

 ▼Jデビュー

 10年シーズン途中で2種登録され、トップチームに同行。昨年4月24日、ホーム岡山戦で初出場し初得点。

 ▼最年少記録

 昨年6月12日、ホーム大分戦で2ゴール。17歳5カ月19日での1試合2得点はJ2最年少記録となる。昨季リーグ戦30試合10得点。

 ▼天皇杯

 準決勝横浜戦で途中出場し、延長後半11分に決勝点。決勝進出に導く。

 ▼「サイズ

 177センチ、68キロ。

 ▼愛読書

 日本代表MF長谷部の「心を整える。」。

 ◆日本代表のAマッチ年少記録

 18歳の京都FW久保が、24日のアイスランド戦に出場すれば18歳62日で、98年4月1日の韓国戦に17歳322日で出場した当時清水ユース所属のDF市川大祐(現水戸)に次ぐ歴代2位の年少デビュー記録となる。ゴールを決めれば、金田喜稔の19歳119日を更新して歴代1位の年少記録となる。なお、久保はJ2では通算30試合10得点を記録しているが、J1の出場歴はなし。歴代最年少出場記録者の市川は代表初招集時までにJ1で2試合、同2位の小野もJ1で2試合の出場歴があった。