なでしこジャパンは30日、明日4月1日のキリンチャレンジ杯米国戦(ユアスタ)に備え、2部練習を行った。FW永里優季(24=ポツダム)は、佐々木則夫監督(53)から「アルガルベ杯のMVP」と高い評価を得ており、攻撃陣の軸に指名された。宮城合宿6日目となったこの日、指揮官も地元高校生との練習試合の中で永里の“相棒探し”に集中した。代表、クラブで世界一を経験したエースストライカーを中心に、なでしこの攻撃陣がどこまで成長できるか、ライバル国相手に試される。

 FW永里が、ザックジャパンFW本田のような存在になった。この日の練習試合(40分1本)では2トップの一角として先発。男子高校生にも負けない体の強さに加え、中盤まで下がってボールを保持しゲームメークもするなどMF沢不在の中でチームの“核”になった。

 佐々木監督も「アルガルベ杯のMVPは永里。短期間でサッカーも精神面も成長してくれた。中心を任せられる」と高評価。この日は「連戦の疲労も考慮して早めに変えた」と13分間で休ませたが、その後は安藤、川澄、宮間、大野のポジションを組み替えながら“永里システム”を模索。「いろいろな組み合わせを見ている段階」と前線の残り3枠を今大会で見定める。

 優勝した昨夏のW杯途中から川澄、安藤らにスタメンの座を奪われたが、アルガルベ杯ではボールキープ力や、決勝のドイツ戦での同点ゴールなど、苦しい場面で決定力を見せつけた。永里は「チームでも同じ役割。自由奔放な赤道ギニア人が相棒なので私が動き回って核になっています。なでしこでは周りのレベルが高いのでやりやすい」。

 22日の女子欧州CL準々決勝で2得点を挙げ、4強の立役者となるなど好調を維持。W杯後に結婚した夫とは“遠距離”が続いているが「アルガルベ杯の後に初めて褒めてくれました。うれしかった。時差があるから正味8時間くらいしか共通の時間はないけど、練習前には必ずスカイプで話していますよ」と精神的にも充実している。仙台には来られないが、神戸では会場に駆けつけてくれる予定だ。

 「ようやく積み上げてきたものが形になってきた。五輪も欧州CLも決勝のピッチに立ちたい」。まずは米国戦初ゴールでエースの存在感を示す。【鎌田直秀】