日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(59)が、異例の「通信教育」で消化不良の3-4-3システムを選手にたたき込む。千葉県内で23日から25日に行われた国内組合宿参加メンバーや代表常連の海外組に、個別の3-4-3指導DVDを配布することが分かった。27日、日本協会関係者が明かした。DVDの内容は選手個々やポジション別の課題や修正点などを細かく抽出したもの。6月のW杯アジア最終予選3試合までに集まれる時間が極めて少ないため、指揮官はまず「予習・復習」でイメージを整える。

 「ザックの通信教育」で消化不良の3-4-3システムを少しでも実戦で使える状態に近づける。日本協会関係者はこの日「千葉県内で行った合宿最終日の明大戦や、これまで3-4-3を使った試合のプレーから出た課題などを選手個別にDVDにまとめ、選手に配布する予定」と明かした。

 ザッケローニ監督が「私の戦闘服」とまで言う3-4-3システムだが、現時点で完成の域まではほど遠い。指揮官自身、代表監督は初経験。選手を集められる時間が限られる代表で戦術をまとめ上げる苦労を痛感しているという。だからこそ、イメージだけでも注入するために、就任後初めての試みとなるDVD配布という手段に打って出る。

 内容は選手個々の課題や、ポジション別の位置取りなどの重要点をDVDに編集。常連の海外組や今回の合宿に呼ばれた国内組の選手に配布する。「課題や修正点に対しての説明もつけ加えることになると思います」と同関係者は説明。離れていても、選手たちの「ザック・イズム」の理解を深めることになる。

 これまでも3-4-3を何度も試行。敵地で行われた昨年9月のW杯アジア3次予選ウズベキスタン戦の直前には、まず最初に3-4-3を練習に取り入れたほどだ。25日まで行われた今回の国内組合宿でも3日間連続で3-4-3を熱血指導。最終日の練習試合明大戦の後には選手に向けて「所属クラブでは3-4-3はほとんどやらないと思うが、普段からイメージだけでも持っておいてくれ」と呼びかけていた。

 当然、現時点の完成度では、3-4-3はW杯アジア最終予選に向けた1つのオプションでしかない。ただ、ザッケローニ監督は「今はあくまでオプションの1つにすぎないが、いつの日か使えるようトライしていきたい」と話し、こだわりを見せている。10年W杯南アフリカ大会に出場した岡田ジャパンでは似たようなDVDを配られたが、代表では異例の「通信教育」。最終予選そして14年W杯ブラジル大会へ、指揮官の熱意と戦術が注入される。