なでしこジャパン佐々木則夫監督(53)が、ロンドン五輪直前にフランス女子代表戦を日本サッカー協会に要求していることが4日、分かった。4月24日の五輪抽選会場で、佐々木監督がフランス協会関係者など、複数の五輪出場国と対戦交渉していた。佐々木監督の意向をくみ、日本協会は英国入り直前のフランス合宿を検討中。7月11日のキリンチャレンジ杯(国立)後、フランスで最終調整し、1次リーグ初戦(25日カナダ戦)の地コベントリー入りのプランが実現するか注目される。

 なでしこジャパンの総仕上げの相手に、世界ランク6位のフランスが急浮上している。抽選会から帰国した佐々木監督は「いろいろな収穫があった」と手応えを口にした。会場で各国関係者と直接交渉。“対戦内諾”がなでしこジャパンへの手土産だった。

 何よりも大切な五輪直前の強化スケジュールは、佐々木監督の狙いを踏まえて、どんどんパワーアップされていく。キリンチャレンジ杯後は、国内で男子高校生を練習相手に、じっくりフィジカルを強化させるプランがある。

 そこに、さらに厳しい敵地での強化試合を組み込み、一気に選手の緊張感を高める。それが、フランスとの対戦であれば、強化策としては申し分ない。

 4月28日、佐々木監督はなでしこリーグ浦和-伊賀戦(埼玉)を視察した時に、上田女子委員長に意向を伝え、2日に日本協会で幹部と五輪前の日程会議を持っている。幹部はフランス遠征について「そのことも含めて、まだ調整が必要な部分もある。近いうちにもう1度話し合って最終決定したい」と言った。

 スウェーデン遠征(6月12~22日)が決定しており、強化費用の捻出が懸念材料。クリアされれば一気にGOサインが出る。

 フランス代表は7月中旬に、スイス、ドイツとの国境近くのクレールフォンテーヌ国立研究所で合宿する予定。6面の芝生ピッチなど環境が整備され、日本のJヴィレッジのモデルにもなった。なでしこジャパンもその周辺都市を合宿地の候補地としている。

 フランス戦を希望する背景には、冷静な戦略がある。本大会の準々決勝に進出する可能性が高いのは、世界ランク1位米国、3位ブラジル、昨夏W杯で敗れた英国。そして「もっとも我々がやりにくい相手」と佐々木監督が警戒するフランスだ。3月のキプロス杯決勝では、日本が対戦するカナダを2-0で圧倒している。

 どこまで不安材料をクリアして、五輪に臨めるか。そのためのプランを佐々木監督が練り、協会と一丸となって詰めの交渉を行っている。最強プランが用意された時、なでしこジャパンの金メダルへのチャレンジは、大きな弾みをつけて動きだす。