4番、レフティー、本田!

 「キリンチャレンジカップ2012」アゼルバイジャン戦(23日、エコパ)に向けた日本代表合宿が21日、静岡県内でスタートした。約9カ月ぶりの復帰で「新しい本田」を掲げていたMF本田圭佑(25=CSKAモスクワ)は、これまでの背番号18から攻撃の選手では異例の4番を付けることが決定。常に前進することを信条とする男が、言葉通り、新しいカラーで最終予選まで日本を引っ張る。

 最後の23人目に練習場に登場した本田が、静かにピッチに踏み込んだ。9カ月ぶりに戻ってきた代表のピッチ。復帰を実感するようにウオーミングアップに臨んだ。対戦相手はFIFAランク109位の格下とはいえ、真剣勝負に変わりはない。非公開練習後に無言を貫くスタイルは、これまでのW杯やアジア予選と同じ。すべては進化を見せるためだ。

 宣言している「新しい本田」披露へ、協会側から後押しがあった。攻撃的選手としては異例の背番号4を背負うことに決まった。協会関係者は「特に意味はない」と説明したが、4番はDF井原や闘莉王らディフェンダーとはいえ、チームの精神的支柱に託されてきた。18番からの変更は、W杯アジア予選2連敗という状況から脱するためのメッセージが込められているのかもしれない。「オレは常に前進している。前の本田には戻る気もない。新しい本田を、ここからつくっていく」。帰国後、こう語った男に、妙に似合う背番号になった。

 プレーでも「新しい本田」を見せる。左足からの直接FKや、ゴール前でボールを受けてからの決定力は前回のW杯でも証明した。今回は相手の裏を突いて飛び出し、最前線まで走り抜いて、自ら点を取りにいくスタイルをロシアで身に付けた。CSKAモスクワでの最終戦となった13日のルビン戦でも実践してゴールを決めた。パスも出せて裏も狙える“ハイブリッド”搭載車。「数字にこだわる」という宣言通り、燃費を伸ばしてゴールに結び付ける。

 前回8月の韓国戦以来9カ月ぶりの香川との融合に加え、19歳の宮市という超新星とも初めての試合。「この9カ月は、苦しいとは思っていない。足踏みをしたとも思わない」と語っていた本田。一皮むけた姿を見せれば、連敗中の日本も好転する。今、変化を遂げるとき。W杯という世界の舞台に再び立つために、ニュー・ホンダは突っ走る。【栗田成芳】

 ◆世界の背番号4

 世界でも守備の選手がつけることが多いが、元オランダ代表FWルート・フリットは、サンプドリア、チェルシーと晩年に在籍したクラブで4をつけた。これに影響されたというのがFWヌワンコ・カヌで、ナイジェリア代表で4をつけている。その他トーゴ代表アデバヨル、オーストラリア代表ケーヒルらFW陣も4。中盤ではイングランド代表でのMFジェラードやバルセロナMFセスク、そして同クラブのグアルディオラ監督も現役時(MF)に4をつけていた。