【ラ・セーヌ・シュール・メール(フランス)21日(日本時間22日)=福岡吉央】フランス入りした五輪代表の初練習で、約9カ月ぶりに招集されたMF村松大輔(22=清水)が紅白戦で主力組のボランチとしてプレーした。この4年間でJFL→J2→J1とはい上がってきた元サラリーマンの苦労人が、23日から始まるトゥーロン国際で世界を相手に結果を残し、1度は諦めかけたロンドン五輪出場を再び目指す。

 ついにチャンスがめぐってきた。21日の初練習。10対10の紅白戦でMF松村は2本とも主力組のボランチでプレーした。「大きなチャンスをもらえたので、しっかりボールを奪いたい」と気合が入った。

 五輪代表は昨年8月の国内合宿以来。「チームに専念したほうがいいのかと考えた時もあった」という。前回はDFで招集されたが、今回はボランチとして声が掛かった。

 当初、代表候補35人を対象にしたメディカルチェックには呼ばれなかったが、今季、清水でボランチとして全試合フル出場し、チームをリーグ3位に引き上げる原動力になったことで、チャンスが到来した。関塚監督も「清水ではDFの前で壁になって、攻撃も支えている。世界で戦ってどれだけやれるのか」と期待している。

 高校卒業後の08年はJFLのホンダFCに所属し、サラリーマンとして朝から自動車工場のラインで製造に携わった。「4年前はロンドン五輪を目指すなんて想像していなかった」。

 だが、09年に移籍した湘南でJ2からJ1へと昇格させ、日本代表にも呼ばれた。11年から清水へ。「前は五輪への強い思いはなかった。(今は)徐々に積み重ねてきたものがあるし、精神力もある。そこが強み。折れない心を持ってやっていきたい」。

 同ポジションには、今回招集されなかったC大阪MF山口というライバルがいるが「球出しは自分の方が勝っているかなと思うし、球際でガツガツやっていきたい」。JFL経験者の五輪出場となれば史上初。村松が4年間で培った雑草魂を胸に、まずはトゥーロンで結果を残す。

 ◆村松大輔(むらまつ・たいすけ)1989年(平元)12月16日、静岡・焼津市生まれ。小2から焼津南SSSでサッカーを始め、藤枝東3年で高校選手権準優勝。08年のJFLホンダFC時代にはU-19日本代表に選出される。湘南では10年にアジア杯最終予選イエメン戦で日本代表に招集されたが、インフルエンザを患い、出場できなかった。昨季から清水でプレー。176センチ、73キロ。家族は夫人と1女。血液型B。