<W杯アジア最終予選:日本3-0オマーン>◇3日◇埼玉

 いつも狙っていた場所だった。FW前田遼一(30=磐田)の嗅覚と、FW香川のスルーパスがかみ合った。後半6分のゴール前。DFとDFの間を抜けた。

 走り込みながら、スピードを殺した香川からのパスを右足でトラップするが、ボールが跳ねる。そこで即座に左太ももで勢いを殺しコントロールした。ハブシの動きを確かめながら、角度のない左隅からねじ込んだ。「裏を狙って相手の嫌な動きをしたかった。ちょっとは役に立てたかな」。その3分後には、1人かわして放った左足シュートがこぼれ、FW岡崎の追加点が生まれた。

 すぐ後ろに控える本田、香川、岡崎の3シャドーと、相手DFラインの間の狭いスペースで、チャンスをうかがっていた。「1度ボールを受けて起点になることも大事だけど、ゴールすることが自分の仕事」。強烈な顔ぶれが並ぶ中盤を生かす一方で、FWとして得点機会を狙っていた。「ゴールできたことはうれしい。でも欲を言えば追加点を決めたかった」。一瞬、ホッとしたものの、すぐに気を引き締めたのは、危機感があったからだ。

 途中出場した5月23日のアゼルバイジャン戦後、静岡開催とあって自宅に戻ったが寝付けなかった。目を閉じても頭の中はシュートゼロ本に終わった試合のことばかり。テレビのハイライトで流れる試合を見て、居ても立ってもいられず夜中に自宅周辺を走って、吹っ切った。

 「気持ちを切り替えないといけない」。初のアジア最終予選。加えて、FWハーフナーの台頭もある。Jで2度も得点王になった「男・前田」が、満を持して臨んでいた。

 中4日で迎える試合に「いい選手が周りにいると、負けじとやりたいって思う。また練習から頑張る」。息つく暇もなく、日本の先頭を切る。【栗田成芳】