<U-20女子W杯:日本4-0スイス>◇26日◇国立◇1次リーグ

 MF田中陽子(19=INAC神戸)が、左右両足でのFKを決めた。前半30分は右足、後半2分には左足から直接FKを決めた。3点目も、CKのキッカーとして演出。後半8分に交代するまで、3得点にからむ活躍を見せた。ヤングなでしこはスイスに4-0で快勝し、決勝トーナメント進出を決めた。準々決勝では、B組2位の韓国と対戦。U-20女子世代でも過去の対戦成績は1勝1敗で、熱戦が予想される。

 サッカーの聖地国立競技場で、田中陽の両足弾が見事に決まった。前半30分、ペナルティーエリアのわずか外で、FKを獲得。吉田監督は「横山が蹴れ」と指示を送っていたが、その場で2人が相談し、田中陽が右足を振り抜くと、ボールはきれいな放物線を描き、ゴールへ吸い込まれた。

 試合後の会見で、田中陽は「監督の指示は聞こえていませんでした」と“釈明”。監督は「聞こえていても、聞こえないふりをしたんだよね」と冗談で報道陣を笑わせながらも「陽子の気持ちがゴールにつながった」と評価した。

 後半2分にも、再びゴール前で直接FKを獲得。今度は左足でゴール右隅へ追加点。同7分にも、キッカーを務めた右CKから、西川が振り向きざまに右足ゴールを決めて3点目。疲労のために試合前の練習を休んだ藤田の代役として、今大会初のボランチでの出場だったが、3得点に絡む活躍で、勝利に貢献した。

 努力から生まれた得点だった。高1の春に、左足第5中足骨を骨折。その後のリハビリで、左足のキックの精度が高まっていった。「右足の使い方を手本に、左足の練習をしていたので、感覚が養われたと思う」と話した。スイス戦を視察に訪れたなでしこジャパン佐々木監督も「A代表でもやれるFKだった。今後、INACでも試合に出られるようになれば、なでしこジャパンにも近づく」と高評価だった。

 準々決勝では、B組2位の韓国と対戦する。10年に行われたU-17W杯決勝では、PK戦の末に競り負け(3-3、PK4-5)、準優勝。昨年のU-19女子アジア選手権では、横山、柴田らの得点で3-1で勝利している。監督は「いつでも日韓戦は、絶対に負けられない相手」。因縁の相手に田中陽も「日韓戦は私たちもドキドキワクワク。強い気持ちで絶対に勝ちたい。優勝に向けてがんばりたい。相手をどう崩せばいいかは、前よりは分かってると思う。成長を見せたいですね」と意気込んだ。【保坂恭子】