ヤングなでしこMF猶本光(18=浦和)が、なでしこジャパンの先輩から伝授された「ドイツ対策」を本番で生かす。U-20(20歳以下)女子W杯の準決勝(4日、東京・国立競技場)で前回覇者ドイツと対戦する日本は1日、都内で調整した。練習後、猶本は大会前に筑波大の先輩でブンデスリーガでプレーするなでしこジャパンのFW安藤梢(30=デュイスブルク)とDF熊谷紗希(21=フランクフルト)から、ドイツの選手と戦術の詳細情報を伝授されていたことを明かし、「勝てると思う」と勝利を宣言した。

 練習直前の豪雨で、グラウンドに心地よい風が吹き抜ける中、ヤングなでしこたちは笑顔でピッチを駆けた。練習はポジション別の対策を意識した。守備陣はサイドからのクロスを想定。DF土光が言う。「相手は大きいのでクロスボールを競っては勝てない。体を当ててセカンドボールを奪う意識が重要」。表情には余裕も垣間みえた。

 実は決戦を前に、ドイツの「機密情報」を入手していた。練習後、MF猶本が明かした。「ドイツの攻撃はほとんど中央を使わず、センターバックからサイドバック、サイドハーフとつないでフィニッシュにいく。教科書のような形だと教わりました。特にU-20はそれが顕著のようなんです」。この日の練習前に情報をチームに伝えたという。

 情報源はブンデスリーガでプレーする、なでしこジャパンの安藤と熊谷。ロンドン五輪直前の6月下旬、猶本が筑波大の研究室で「ドイツ対策」の講義を受けたという。今大会での対戦を視野に入れてのものだった。「2人が同じチームでプレーする選手もいました」。ドイツの戦術の特徴に加えて、選手の個人情報も伝授されたという。

 例えばA代表の中心選手でもあるFWマロジャンのプレーの特徴についても詳細にアドバイスを受けた。「ボールをもらう位置がいい。そこを気を付けないと。ボランチの私がつぶしに行くイメージはできています」と、猶本はエース封じにも自信をのぞかせた。

 ドイツ戦決定後、猶本は宿舎で1次リーグ米国戦と、準々決勝ノルウェー戦のドイツの2試合をVTRで確認した。「先輩の助言そのままで、違うことはやってこない印象でした」。さらに「1対1の対応が軽いなと感じた。私たちはドリブラーが多いので期待してください。やれない相手ではないと思う」と新たなプラス材料も見いだした。

 土光も日テレの先輩からドイツ情報を入手するという。「イワシさん(岩清水)にも電話やメールでドイツの対応策など聞いてみたい。ベレーザの先輩の大儀見さんもドイツにいますし」。猶本が言う。「準々決勝のほうが緊張した」。今大会12得点無失点の優勝候補相手に、勝利へのイメージが固まっている。【鎌田直秀】