<アルガルベ杯:日本2-0デンマーク>◇11日◇1次リーグA組◇ポルトガル・ファロ

 FIFAランク3位なでしこジャパンが、2年前に東日本大震災が起きた日に、今大会初勝利を挙げた。同13位デンマークとの一戦は、前半にMF川澄奈穂美(27=INAC神戸)と大儀見優季(25=ポツダム)がゴール。これを岩手県出身のDF岩清水梓(26=日テレ)を中心に守りきり、勝った。日本はA組3位となり、明日13日の5位決定戦に回る。

 忘れられない1日に、なでしこジャパンが遠くポルトガルから白星を届けた。前半17分に川澄の左クロスがそのままゴールへ吸い込まれて先制。同41分にもMF宇津木のスルーパスを受けた大儀見が、冷静にGKをかわして左足シュートを決めた。守備陣は最後までゴールを許さず完封勝ち。岩手出身の岩清水は「東北にいいニュースを届けたいと思っていたので、勝利を届けられて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 2年前、アルガルベ杯で3位に入ったなでしこジャパンが帰国。まさにその日が3月11日だった。成田に着いた直後に震災が発生。交通網はストップし、帰宅難民となった選手もいた。佐々木則夫監督は今でも講演会で「東北へ笑顔を届けたいという気持ちがなでしこの強さの一因となっているんです」と説明する。

 あの日から選手おのおのが被災者支援活動に携わってきた。特に岩清水は定期的に被災地を回り、「東北人魂を持つJ選手の会」にも女子初の協力選手として参加。黙とうが行われたこの日の試合でもキャプテンマークに「3・11を私たちは忘れない

 共に頑張ろう

 東北魂!」の文字を書き込んで試合に臨んだ。

 岩清水のプレーも普段とは違った。後半9分には左CKからフリーでヘディングシュート。同27分にも左CKに左足ボレーを試みた。積極的に攻め上がり、被災地へ何とかゴールを届けたいという強い意志を示した。

 岩清水や大儀見、GK海堀とともに今大会の主将を務める川澄は試合後、「日本にとって特別な日。2敗していたので絶対に勝ちたいと思っていた」と話した。勝ち点3を挙げた日本は、A組最下位を免れ、5位決定戦へ進出。その背中を後押ししたのは、紛れもなくあの日への思いだった。