甘さを排除しろ!

 日刊スポーツ評論家に就任した元日本代表FWの中山雅史氏(45)が27日、26日のW杯アジア最終予選でヨルダンに1-2で敗れた日本を分析した。同氏は97年9月28日の韓国戦(国立)以来、16年ぶりにW杯予選を現場で味わった。厳しいアウェーの地で3大会連続最速の出場決定こそ逃したが、予選はまだ2試合を残す。独特の“ゴン節”で「(屈辱に)目隠しをしていては成長しない。これは財産」と指摘した。

 いや~、悔しいね。試合後に喜んでいる(ヨルダン)サポーターに囲まれて「何だこの野郎!」って思いましたもん。最終予選を現場で見るのは、招集外だったW杯フランス大会予選の韓国戦(97年9月28日、国立)以来。今回負けたのは残念だけど、下を向く必要はない。敗戦は自分を見つめ直す絶好の機会。僕も数多くのゴールを外してきましたからね。それを向上心として持てるかどうかが大事。目隠しをしていては成長はないんだから。

 中東の試合では、いろんなことがありますよ。それでも強さを見せてほしかった。攻撃では慎重になりすぎましたよね。シュートを打てるのに、よりフリーの人間を探している。相手をひるませるためにも、シュートを打つことは重要なんです。W杯出場を決める大一番でしたし「確実にゴールを決めるんだ」という意識が、そうさせてしまったのかも知れませんね。

 カウンターから2点目を失ったのも心残り。(DF吉田は)ゴールから遠い位置(の1対1)だったから、何とかなると思ったのか。ファウルでもいいんです。相手を倒してイエローをもらうのと、得点を許すのと、どっちがいいのか。(スタンドから)「つぶせ!」と思いましたもん。

 もっと強くなるためには、この経験を財産にすることができるかどうかなんです。(失敗を)悔やんでうじうじするのではなく、次への材料にする。自分を見つめ直すいい機会です。

 甘くするのも自分、厳しくするのも自分。まだまだ甘いと思うのなら、その甘さを排除していけ!

 アジアの戦いは、やっぱり厳しいです。僕も磐田時代、アジアクラブ選手権(99年4月30日)で、イランの10万人の観衆の前で試合をしたんです。ピッチに、足を糸で縛られた生きたハトは飛んでくるわ、爆竹は飛んでくるわ。すさまじい雰囲気でしたよ。そんな中でも、ゴールを決めれば(観衆は)黙る。アウェーの試合こそ、真価が問われる。相手を黙らせるくらいの気持ちで臨まないとダメなんです。

 前向きに考えましょう!

 この試合で予選突破はならなかったけど、自分たちを試すチャンスは得たんです。次は崖っぷちにいるオーストラリア。絶好の相手じゃないですか。これは日本が成長するための大きなチャンスですよ。

 迷わず行けよ!

 行けば分かるさ!

 全然、問題ないでしょ。予選はあと2試合あるんだから。