日本サッカー協会は23日、親善試合ブルガリア戦(30日・豊田ス)、W杯アジア最終予選オーストラリア戦(6月4日・埼玉ス)のメンバー26人を発表した。けがで3月のヨルダン戦を欠場したMF本田圭佑(26=CSKAモスクワ)とDF長友佑都(26=インテルミラノ)が復帰し、FW工藤壮人(23=柏)が初招集となった。アルベルト・ザッケローニ監督(60)は会見で「インテンシティ」という言葉を繰り返し、激しくダイナミックに、かつスピーディーなプレーをテーマに掲げた。

 W杯を決める「6・4」に向け、ザッケローニ監督は笑顔を封印した。「日本は技術力はアジア一と自負する。だがインテンシティが欠けるといい方向に進まない。今季結果を残しているBミュンヘン、ドルトムント、ユベントス、マンチェスターUに共通することだ。いくら個の力が強くても、インテンシティが欠けていれば結果は出ない」。

 会見中はイタリア語で「intensità(インテンシタ)」と7回、口にした。英訳した「インテンシティ」とは、激しく、ダイナミックに、そしてスピーディーなプレーを意味。バルセロナでさえ欧州CLではバイエルンの前に屈した。球際で激しく、攻撃に転じてからはスピーディーに。欧州トップのスタイルを引き合いに出した。

 3月のヨルダン戦の2失点目。相手カウンターに寄せが甘く、中途半端なプレーが敗戦につながった。「日本のいい時はインテンシティが高まっている。チームとしての回転数が高い時だ。ピッチでそれが現れていれば、パフォーマンスが伴う」。世界に向かう上での言葉を繰り返した。

 相手はライバル、オーストラリア。現在3位の相手は高さ、強さを武器に、しゃにむに体の強さで対抗してくる。だが日本のサッカーを貫き、インテンシティを体現できれば結果はついて来る。「W杯出場が決まった雰囲気が流れているが、実際は違う。自分たちで決めるために、気迫を持って挑みたい」。その先の世界をにらみ、ザッケローニ監督は再び表情を引き締めた。【高橋悟史】