日本代表の守備の要であるDF吉田麻也(24=サウサンプトン)に、不安要素が出てきた。ブルガリア戦から一夜明けた5月31日、14年W杯ブラジル大会出場権がかかる最終予選オーストラリア戦(4日、埼玉)に向け愛知県内で調整。吉田は腹筋と股関節痛のため、別メニュー調整になった。今春に痛めていた箇所であり、大一番には強行先発する見通しだが、万全とは程遠い状態であることが判明した。

 大事な一戦を目前に控え「守備の大黒柱」に問題が発生した。強い日差しが照りつけた、この日の豊田スタジアム。吉田はウオーミングアップを済ませると、ブルガリア戦に出場した主力組から1人離れた。ピッチ横に寝ころび、入念なストレッチとマッサージを受ける。試合翌日のため、ランニングなど軽めの練習にもかかわらず、最後まで合流することはなかった。腹筋を手でさすりながら、不安そうに顔をゆがめた。

 「気になるか、気にならないかと言ったら(患部が)気になります。悪くはなっていないですけれど、良くもなっていないので」

 腹筋と股関節の周囲を痛め、所属クラブでもリーグ終盤の3試合を欠場した。ブルガリア戦は事実上の復帰戦だったが、前半45分間だけで途中交代。一夜明けても違和感は消えなかった。故障発覚後はまだ90分間を通じてプレーしておらず、宿舎ホテルで「ほぼ毎日」治療に専念しているという。目の前に迫った大一番は強行先発する方向。それでも万全とは程遠い状態で、長友と本田も故障から戻ったばかり。ザックジャパンにとって、不安要素は少なくない。

 「サウサンプトンでの(リーグ戦)終わりぐらいから、ずっと一緒です。オーストラリア戦も大事ですけど、コンフェデ杯もある。(気持ちを)切り替えてやっていかないといけない」

 日本はセットプレーから失点を繰り返している。身長189センチ。高さも、強さも、プレミアでの経験もある吉田の存在は大きい。W杯出場権獲得のために…。残り少ない時間で、必死のリハビリを進めていくしかない。【益子浩一】