日本代表MF本田圭佑(26=CSKAモスクワ)が、W杯出場がかかる明日4日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦(埼玉)を前に代表の仲間に自らと向き合うよう強く求めた。本田を欠いたここ2試合、日本は連敗。敗因を「気持ちの面」と分析し、引き締めるため「くどいほど自問自答するしかない」と自ら設定した異国での異例の単独会見で訴えた。ロシアで2冠を成し遂げたエースは今日3日に帰国し、代表に合流する。

 突如沈黙を破った本田は、1つ1つの質問に丁寧に答えた。1日夜(日本時間2日未明)にスタートした異例の単独会見。「自分の気持ちの問題なんですけど、しゃべりたくなった」と自ら望んで設定した場で、2冠制覇の余韻が残る少し上気した表情で約30人の報道陣と向き合った。

 本田を欠いた日本代表は勢いを失い、迷走しつつある。左足首の故障などで招集されなかった3月ヨルダン戦の敗戦、直近のブルガリア戦の完敗。すべてチェック済みのようだ。オーストラリアとの大一番に向け、大切なことを問われると迷わず言った。

 本田

 すべて大事なんですが強いて言うと気持ちの面。自分たちでしっかりいい雰囲気をつくること。ポジティブな雰囲気をつくることで勢いをチームにもたらすという意味合いです。

 気持ち-。ありきたりかもしれないが、この男は徹底している。試合2日ほど前から口を開かず集中を高める。それどころか、ここ数カ月は取材にもほとんど答えていない。わずかにあいさつ程度。他人と簡単に向き合う前に、まず自分と徹底して対話する。この本田スタイルを仲間にも求めた。ヨルダン、ブルガリアの連敗は「気の緩み」だとも断じた上で。

 本田

 人間って、気が緩んでないと自分で思っていても、気が緩んでいるもんだと思うんです。それをどう引き締めるかといったらもう、くどいほど自問自答するしかないと僕は思っているんです。「大丈夫か?」「準備はちゃんとできてるか?」と。くどいほどやれるかどうかがキーポイントだと思っています。

 2月に左足首を痛めるなどし長期離脱した。その間も自らと向き合い、孤独なリハビリとトレーニングで復帰を果たした。5月に痛めた右太ももも回復し、コンディションについては「状態は良好」と問題なしを強調。ロシア~日本の長距離移動を含む「中2日」でのオーストラリア戦に強行出場する意思も当然のように示した。今日3日、日本に降り立ち、日の丸を背負う。

 苦しむ代表を、どこかここ最近のけがが続く自分になぞらえているのかもしれない。会見では「2冠」をプレゼントととらえ、こうも言った。

 「僕の歩んでいる道は順風満帆ではなく、それでもこうやって何年かに1度神様がプレゼントをくれるんです。神様に毎年くれるように交渉したいところですけど、これからもおそらく自分が進む道は一筋縄ではいかないでしょうし、さらなる困難が待ち受けてるんじゃないかなと思います。それでも悔いなく楽しんでいこうと思っています。すべては自分が選ぶ道なので、しっかり責任を持って進んでいきたいなという気持ちがあります」

 すべては自分-。「自問自答」した日本代表と、本田が示すものとは。明日、ピッチでひとつの答えが出る。(モスクワ=八反誠)<本田と一問一答>

 -なぜ突然会見を

 本田

 ロシアでの試合後は、通信員(地元記者)の皆さんにコメントした記憶がないんです。この場を借りてまず嫌いではないんだということをお伝えしたい。自分の集中の問題で、何年もしゃべれなかったんですが。

 -オーストラリア戦について

 本田

 オーストラリアに勝った記憶がないんです。勝ちたいですよね。それはひとつあります。

 -今後ロシアに日本の選手が来るといったら

 本田

 勧めます。細かいことは言えないんですが、過去に自分のチームが日本人を狙っていた時に相談されたことがありました。僕より年下の選手だったんですけど、その時は勧めましたから。これからも勧めます。