【レシフェ=18日】日本代表が誇る「悪魔の左足」が、多湿の低地でカテナチオを打ち破る。初戦ブラジルに敗れた日本は、19日(日本時間20日)に第2戦のイタリア戦を迎える。ブラジリアからレシフェに場所を移し、標高は1132メートルから34メートルまで低くなる。気圧も高くなるため、ボールの変化が大きくなることが判明した。さらに高温多湿の気候とあって、ぬれたピッチが予想され、MF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)にとっては直接FKゴールに最適な環境が整った。
大西洋岸の町レシフェが日本の、そして本田の味方になる。前々日の練習まで、別メニューで調整。右太ももの張りや、腰の打撲のためとみられるが、イタリア戦での先発が濃厚だ。トップ下で先発しながらもブラジル戦でかなわなかったゴールが、ここレシフェで近づいてきた。
標高約1100メートルにも及ぶ落差とは裏腹に、勝利の可能性がグッと上がった。1132メートルのブラジリアから移動した海岸沿いの町は、標高わずか34メートルと低い。第3戦のベロオリゾンテが821メートルで、1次リーグ唯一の「低地決戦」が、本田にとって有利に働く。
標高が下がれば、気圧は高くなる。ボールにかかる空気抵抗にも変化が及ぶ。スポーツ・バイオメカニクス分野を専門に研究する筑波大の浅井武教授(56)によると、「気圧が高くなって、空気抵抗が大きくなるということは、ボールの変化も大きくなる」という。つまりFKキッカーを務める本田にとってみれば、得意の無回転シュートを放てば空気抵抗によって、ブレ幅が増大する可能性が高い。日本の大きな武器に、さらに磨きがかかるわけだ。
本田にとって、直接FK弾は10年W杯南ア大会のデンマーク戦(3-1で勝利)以来遠ざかっている。当時、ゴールへ向かって右斜めから放った左足弾は、大きくブレる衝撃的な軌道で吸い込まれたことから「悪魔の左足」と言われ、世界でも話題を呼んだ。日本をW杯1次リーグ突破へ導いた、代表では唯一のFK弾を、イタリア戦で再現する。
“味方”はこれだけではない。レシフェは高温多湿の気候で、来年のW杯が開催される12都市中、6月の平均降水量が390ミリとダントツ。スコールが頻繁にあり、イタリア戦の芝生もぬれた状況が予想される。スリッピーでGKにとっても止めづらいピッチコンディションだ。ミドルシュートは効果的で、イタリアの名GKブフォンといえども苦戦は必至。ブラジル戦では、両軍最多となる本田のシュート4本のうち、FK2本、ミドルが1本だった。同様のチャンスがあれば、ブラジル戦以上に得点へつながる可能性は高まる。
今オフ、イタリア紙で本田の移籍先としてACミランの名前が挙がるなど、同国でも話題となっている。イタリアとの対戦となれば注目度も一層増すことが予想される。「(コンフェデ杯は)テストじゃないんでね。しっかり勝ちにいくんで。それは揺るがないです」と臨む2戦目。スタイルは変える必要はない。貫けば、おのずと道が切り開かれる。【栗田成芳】
◆浅井武(あさい・たけし)1956年(昭31)9月12日生まれ、名古屋市出身。筑波大、同大学院修了。山形大地域教育文化学科助教授を経て、現在筑波大大学院人間総合科学研究科コーチング学教授。専門はスポーツバイオメカニクス。同大蹴球部総監督も務める。

