<コンフェデレーションズ杯:日本1-2メキシコ>◇1次リーグA組◇22日◇ベロオリゾンテ・ミネイロン競技場

 世界の壁は厚く、高かった。日本(FIFAランク32位)はメキシコ(同17位)に敗れ、コンフェデレーションズ杯は3戦全敗で幕を閉じた。アルベルト・ザッケローニ監督(60)の采配も後手を踏み、チームに流れをもたらすことはなし。課題の守備面も3戦9失点、再びセットプレーから失点するなど弱点を露呈。19日のイタリア戦こそ大善戦したが、W杯本大会まで1年を切り、世界との差が如実に表れた3連敗だった。

 3連敗を告げる試合終了のホイッスルが鳴り響くと、指揮官は険しい表情で敵将のもとへとあいさつに向かった。通用する部分もあったが、世界との差が表れてしまった3戦全敗。試合後、3試合続けて同じ「体調」という敗因を挙げた。

 ザッケローニ監督

 メキシコは我々より体調が良く、速く動けていた。イタリア戦から中2日で日本は疲れが回復していなかった。我々の選手の何人かは休養していなかった。長友や本田は(故障で)最近数カ月で数試合しかプレーしていない。コンフェデ杯の準備ができていなかった。

 序盤は日本ペースだった。前半5分には香川、同25分には本田が惜しいシュートを放った。だが、後半は失速した。ただ中2日は相手も同じ。W杯最終予選イラク戦が行われたドーハからの長距離移動や短い試合間隔という日程問題は事前に分かっていたこと。疲労が事実だとしても、これでは「言い訳」でしかない。

 采配にも疑問が残った。先制されると「攻撃のための布陣」と自負する3-4-3にシステムを変更したが、直後の後半21分に追加点を奪われた。さらに同32分に長友が負傷で交代すると、通常の4-2-3-1に戻した。「サイドの攻撃を厚くするため3-4-3に変更したが、長友が故障したので戻した」。故障はアクシデントだが、全てが後手に回った。

 不穏なデータがある。就任以来、先制すれば23試合20勝2分け1敗だが、先制されると1勝4分け7敗。今大会も先制されたブラジル戦では194センチの長身FWハーフナーを投入しながら、ロングボール狙いをチームに浸透させられず「宝の持ち腐れ」となった。W杯では強豪との対戦で追う状況が生じやすい。追いかける際、指揮官の「攻め手」に欠ける采配は致命傷になりかねない。

 守備陣の整備も急務だ。3試合で9失点。メキシコ戦の2失点目のように、課題とするセットプレーの守備の弱点が露呈された。失点の時間帯も、前半や後半の開始早々や終了間際が多い。DF今野が「アジアと世界はセットプレーの質が全然違う。そこの修正が課題」と言えば、DF吉田は「組織が崩されるというよりは個の部分が大きい」。GK川島も「あと少し寄せられれば、という部分でやられる。個の細かいところを詰めないと」と話した。

 W杯まで残り1年。自信を持って戦えた時の攻撃面は世界に通じた。ただ、強豪に勝つために必要不可欠の守備、そして采配には不安が残る。ザッケローニ監督は「改良点を知りたかったので、それが分かって良かった。世界とのギャップは埋めていける」と前向きに話したが、陰に潜む課題を修正できなければ、1年後も同じ轍(てつ)を踏むことになる。【菅家大輔】