<東アジア杯:日本3-3中国>◇21日◇ソウルW杯スタジアム

 柿谷に続きFW工藤壮人(23=柏)も、歴代27人目となる日本代表初出場初ゴールを決めた。2-1の後半16分にゴール前で柿谷からパスを受けると、右足で流し込んだ。前半にはヘディングで一時同点となるゴールもアシストしており、1得点1アシストの大活躍。まさかのドローに終わったが「最低限の仕事はできた」と手応えをつかんだ。

 A代表最初の試合で、工藤がいきなり結果を出した。後半16分。中央で柿谷が粘り、右サイドから走り込んできた工藤にパス。これを右足で確実に決めた。「グラウンドが悪かったので、しっかりとボールをとらえることを考えました」という冷静なシュート。代表定着のため、最も自信がある得点能力をザッケローニ監督の目の前で見せた。

 前半33分には頭で栗原の同点ゴールをアシスト。「結果を残せたのは良かったと思う。チームは勝つことが出来なかったですけど、最低限のゴールという形は見せることができた」と納得の表情だった。

 特別にスピードがあるわけでもなく、柿谷のような超絶的テクニックを披露するタイプでもない。だからこそ得点という結果、数字にはこだわりを持つ。今季はリーグ戦、ナビスコ杯、ACLで計16得点。この日も右MFでプレーしながら、積極的にペナルティーエリアへ進入。「あのポジションでもできる限りペナの中に入って仕事をしたい。次にチャンスがきたらまたゴールに絡んでいきたい」と次戦を見すえた。

 W杯出場を決めたオーストラリア戦の翌日。記者会見で「このチームで、ビッグクラブでプレーしている選手たちと一緒に練習できるのは楽しい」と話したDF今野に対し、MF本田が「同じサッカー選手なのに、そういうあこがれの目で見られては困る」と苦言を呈した。工藤はその場面を横から見ていた。

 まだ代表デビューすらできていなかったが、直後の取材に対し「僕はこれまでもあこがれの目で彼らを見ていたことは1度もない。同じ選手として、同じピッチでプレーしたらどうか。そういうことを考えてきました」と言い切った。

 このチームには本田や今野はいない。それでも代表でのプレーは現実のものになった。「柿くんとも、やっててやりやすかった。もっともっと残りの期間で反省するところは反省して、次に生かしたい。チームとして成長したい」。その言葉には、代表の責任感がこもっていた。【千葉修宏】