<東アジア杯:なでしこ1-2韓国>◇27日◇韓国・蚕室五輪スタジアム

 なでしこジャパン(FIFAランク3位)が韓国(同16位)に惜敗し、東アジア杯3連覇を逃した。

 なでしこジャパンは、東アジア杯で結果を残すことはできなかった。11年W杯の世界女王が2年後、厳しい現実を突きつけられた。中でも今大会で最も頭を悩ませたのは佐々木則夫監督(55)だ。

 大黒柱のMF澤を欠くことは痛かったが、それ以上になでしこにダメージを与えたのが近賀、鮫島の不在。11年W杯ドイツ大会優勝メンバーの両サイドバックをケガで招集することができず、近賀の代役として右DFで活躍していた有吉も初戦で故障。最後までDFラインが固定できなかった。

 佐々木監督は山崎、中島、上尾野辺、宇津木と日替わりでサイドバックの適性を試しながら、なんとか大会を乗り切ろうとした。「いろんな選手を試せて良かった。発見もあった」と話したが、守備が安定しなかったばかりか、攻撃力も低下した。

 守備力を買われている選手がサイドバックを務める時には上がりが少なく、攻撃が中央一辺倒に。この日も「前半は単純なミスが多かった。もう少し横に動かして攻めれば良かった」。これまで得点に絡むことが多かったMF川澄は、今大会では最後まで生かされることは少なかった。

 佐々木監督は今大会中、スタッフとDF陣だけでミーティングも開催し、最終ラインの意思の疎通も図った。だが最後は涙をのんだ。試合後、「選手と話していても、最近ギャグがすべるんだよね」と話したが、それほど冗談に聞こえなかった。

 ザッケローニ監督が初戦中国戦のメンバーを、2戦目オーストラリア戦ではガラリと替えた。その思い切った選手起用を見て佐々木監督は「ザッケローニ監督は全員のプレーを見ることが意義と思っているが、私たちは選手を試しながら、勝っていかないといけない」と、苦しい胸の内を明かしている。

 11年女子W杯ドイツ大会での優勝で、一躍女子サッカーに脚光が集まった。その反動はいずれくる。12年ロンドン五輪で銀メダルに輝いたが、目標とされるチームは世代交代を遂げながら、選手層を厚くしながら、競技人口の裾野を広げ普及にも取り組み、結果を出さなければならない。その難しさを、東アジア相手に思い知らされた。