本田が楽観ムードにくぎを刺した。日本代表のエース、MF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)が6日(日本時間7日未明)、14年W杯ブラジル大会の組み合わせ決定を受け「非常に厳しい」と口にした。モスクワのシェレメチェボ国際空港で日刊スポーツの単独取材に応じた。日本はブラジルで行われた抽選会でコロンビア、ギリシャ、コートジボワールと同じC組に入った。厳しい「死の組」は回避したが、本田は警戒感をあらわにした。

 遠くブラジルで、公言してきた「W杯優勝」を成し遂げるための道のりが定まった。そのころ本田は極寒のロシアにいた。華やかに進んだ抽選会とはかけ離れた雰囲気の静かなモスクワ・シェレメチェボ国際空港。リーグのクラスノダール戦を終えたCSKAモスクワのチャーター機は定刻より5分遅れ、日付が変わるころ(日本時間7日午前5時)に着陸。本田を含むチーム一行は約30分後、到着ロビーに姿をみせた。

 本田の装いはCSKAのそろいのジャージー姿。日本代表と同じ青色だった。いつものようにキャリーバッグを転がし、数時間前に決まった抽選について質問を受けた。結果は知っていた。うんうんと静かにうなずき、しばし沈黙。歩みは止めず重い言葉を吐いた。

 「まあ…。いよいよという感じですよね。第一印象としては、非常に厳しいなというのは感じます」

 同組にW杯優勝国はいない。比較的恵まれた組に入ったと見る向きもある。予想された「死の組」と比較すれば、11月の欧州遠征でベルギーを下し、オランダとも引き分けた日本なら1次リーグ突破は現実的にもうつる。だが、本田はそんな楽観ムードを察知したかのように、厳しい見立ての根拠を口にした。

 「コロンビアもコートジボワールも、世界トップクラスのチームでやってる選手ばかりですし」

 コロンビアにはFWファルカオ(モナコ)がおり、コートジボワールにはドログバ(ガラタサライ、元チェルシー)とY・トゥーレ(マンチェスターC)がいる。ギリシャにもサマラス(セルティック)らがいる。トゥーレのマンCとは今季の欧州CL1次リーグで対戦し2戦2敗。マッチアップする時間帯もあり、力を見せつけられている。

 ここ最近は代表の主軸として、時に厳しく、時に大局的な見方であえて優しく、周囲に届く発言がどういった効力を持つかまで考え話をしている。世界最速で突破を決めた6月のW杯最終予選オーストラリア戦もそうだった。合流直前のロシアで開いた単独会見では直前の国際Aマッチ連敗を「気の緩み」と断じ警鐘を鳴らし、切符をもぎ取った。今回の「厳しい」という言葉にも、深い意味が込められているはずだ。

 目標はひとつ。1次リーグ突破でもなければ、ベスト4でもない。「優勝」-。本田は大会の最後の最後まで、気を緩めることはないだろう。照準は定まり、戦いはもう始まった。

 ◆ディディエ・ドログバ

 1978年3月11日、コートジボワール・アビジャン生まれ。フランス育ちでマルセイユなどを経て04年チェルシー入り。屈強な体を武器に2度のプレミア得点王に輝く。現在はガラタサライ所属。189センチ、91キロ。

 ◆ゲオルギオス・サマラス

 1985年2月21日、ギリシャ・イラクリオン生まれ。オランダ1部ヘーレンフェインでデビュー。マンチェスターCを経て、08年1月にセルティック移籍。ポストプレーと得点力でMF中村とともにリーグ優勝に貢献。193センチ、82キロ。

 ◆ラダメル・ファルカオ

 1986年2月10日、コロンビア・サンタマルタ生まれ。05年にプロデビューし、FCポルト、Aマドリードなどを経て、今季からモナコでプレー。左右両足に頭と、どこからでも点が取れるCFタイプ。178センチ、72キロ。