ザックジャパン、大丈夫?

 サッカーの国際親善試合「キリンチャレンジカップ2014」ニュージーランド戦(3月5日、国立)に向けた日本代表メンバー23人が27日、発表された。ザッケローニ監督(60)はW杯ブラジル大会(6月12日開幕)に向けて意気込んだが、主将MF長谷部誠(30)が右膝の故障再発で緊急帰国することが決定。DF内田が右太もも裏肉離れで招集できず、MF香川も出場機会が得られないまま。「三重苦」の状況で、W杯開幕1カ月前と見込まれる最終登録選手決定前最後の国際試合を迎える。

 W杯での躍進を目指すザックジャパンの前に、暗雲が漂い始めた。ザッケローニ監督はニュージーランド戦を前に「代表のやり方を選手に思い出してもらい、3年間積み上げたものを再確認したい」と狙いを強調したが、その裏で不安要素が露呈していた。

 1月中旬に右膝を手術し、順調に復帰へ向けて調整していると思われた主将のMF長谷部が故障を再発。緊急帰国を強いられることとなった。当初からニュージーランド戦への招集は難しい状況だったが「(8日に)ニュルンベルクを視察した際に会い『状態は上がっている』と言っていた。焦らず完治を目指して欲しいと伝えた」と話していただけに、まさかの展開だ。不動の主将の離脱期間がさらに延びれば、W杯へ向けて試合勘に問題が生じる可能性が高く、日本代表への影響も極めて大きい。

 右太もも裏肉離れで4月中の復帰を目指す右サイドバック内田は当初の予定通り招集されず。さらに背番号10のMF香川は25日の欧州CLオリンピアコス戦で途中出場したものの、波に乗れない状態が続く。

 国内での国際Aマッチは今回と5月27日のキプロス戦のみ。指揮官は「W杯はモチベーションが高く、状態が最高の本当のアスリートが行くべき」と話すが、数少ない準備機会で実戦を積めず、主軸の一部に試合勘の不安が残れば、本番に響く可能性は高い。

 ただ、ザッケローニ監督はあくまで前向きだ。「あることが起こると、もう一方であることが起こる」というイタリアのことわざを使い「今回も(故障者など)あることが起こったことで、何か新しいことが起きると思う」と話し、新戦力の台頭などを期待した。

 実は8日のニュルンベルク視察の際、旧知の間柄の前日本代表監督の岡田武史氏(57)と昼食をともにした。日常の雑多な話から、前回のW杯前の情報交換などをしたという。10年W杯南アフリカ大会で、直前まで絶不調だった代表を本番で躍進させた岡田氏の好きな言葉の1つが「人間万事塞翁(さいおう)が馬」。この日ザッケローニ監督が口にしたことわざに似ている。「個人的にはW杯1次リーグの対戦国との差はそれほどないと思う。自分たちがやるべきプレーをすれば、どことでも渡り合える」と自信を示した指揮官。ニュージーランド戦を苦境をプラスに転換するポイントにできるか注目だ。【菅家大輔】

 ◆人間万事塞翁が馬

 中国の古事。人生における幸不幸は予測しがたいということ。幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるかわからないのだから、安易に喜んだり悲しんだりするべきではないという例え。