日本代表MF本田圭佑(27=ACミラン)がイタリアで公言する「W杯優勝」に向け、同じミラノに住む日本代表DF長友佑都(27=インテルミラノ)との個別ミーティングで代表を継続強化する。本田は6日、成田空港から離日。同じ志を持つ2人はすでに何度も会談を行っていることが判明。海外組が参加できる代表活動は5月下旬までない。約2カ月の「空白」を2人による激しい議論“ミラノダービー”で埋めていく。

 成田空港に運転手付きのメルセデスベンツでやって来た本田圭佑の左胸からポケットチーフがのぞいていた。ピッチ上と同様、細部にまでこだわる。イニシャル「KH」の刺しゅうがある。W杯開幕まで100日を切った。公言するW杯優勝へ。志を同じくする「YN」こと長友佑都、同じミラノの住人2人が鍵を握る。

 エースは代表強化につながる動きをやめない。130万人超が住むファッションの都には盟友・長友がいる。同学年で同じ08年北京五輪代表の親友だ。長友はMF長谷部が故障で不在だった5日のニュージーランド(NZ)戦でキャプテンマークを巻き、圧倒的なプレーと存在感でチームをけん引した。NZ戦前にミランで厳しい批判にさらされる本田の状況を「むしろ彼にとっては(苦境は)“大好物”でしょ」と解説した最高の理解者だ。

 2人はすでにミラノで会談していた。大都市を二分するミランとインテルの選手。両クラブの選手は比較的交流しているが、禁断の激論“ミラノダービー”が当面の強化プランとなる。今回の代表合宿中、長友は「圭佑とはもちろん会ってます。生き方だったり、いろいろな話をしています。彼とは刺激し合ってやってきたし、近くにいて会って話すことで目指すべき方向もすべて確認できる」と明かした。

 本田は1月にミランに移籍した。長友は11年夏からインテルでプレー。イタリア紙の報道によると、2人の住まいは比較的近い。本田の移籍後いつ対面するのかと注目されていたが、ともにスケジュールが立て込み、1月中旬まで会った形跡はなかった。本田の活躍がなく、地元メディアでフィーバーが沈静化。情報量が少なくなり動向が不透明だったが、長友の証言によるとすでに1月末からの約1カ月間で数回ミーティングを重ねていたことになる。

 当然、話題は代表強化に及ぶ。発信力と発言力があり議論が大好きな2人が、時間を共有することで新たな力やヒントが生まれる。ミラノに他の欧州組が足を運び、新たな輪が広がることも考えられる。5月4日、注目のピッチ上での真のミラノダービーを前に、断続的に開催される“トップ会談”。W杯メンバー発表後の5月下旬まで、海外組も含めた代表活動はできない。これがここから約2カ月の「空白」を埋め、世界の頂を狙う日本の秘策となる。【八反誠】