日本代表アルベルト・ザッケローニ監督(60)も注目する男が、U-21(21歳以下)日本代表候補にいた。24日に始まったU-21代表候補合宿に参加中のDF岩波拓也(19=神戸)。同監督は周囲に「イワナミ」と名を挙げており、26日に行われるU-19代表との練習試合を訪れ、直接チェックする。4月7日に始まるA代表国内組合宿(東京近郊)に招集される可能性も出てきた。

 約1カ月半後に迫ったW杯のメンバー発表で、サプライズがあるかもしれない。日本協会関係者によると、ザッケローニ監督は視察先や強化会議で「イワナミ」と名前を出し、動向を気にしている。

 19歳の岩波は186センチのセンターバック。空中戦に強く、高卒1年目の昨季から神戸のレギュラーをつかむ有望株だ。守備力だけでなく、一番の持ち味はビルドアップ能力。足元の技術に優れ、ロングパスで試合を組み立てられる点が評価されている。層が厚いとはいえない日本のセンターバック陣に割って入ることも期待される。

 11年のU-17W杯では主将を務め、8強に導いた。準々決勝でブラジルに2-3で惜敗したものの、早くから世界レベルで活躍してきた。昨年11月に右足関節内顆骨折(全治2カ月)で手術を受けたため、今年1月のU-22アジア選手権(オマーン)は招集が見送られていたが、今回の手倉森ジャパンには名を連ねた。

 合宿に参加した岩波は、前日23日の名古屋戦にフル出場したことを考慮されてリカバリーに専念した。手倉森ジャパン選出について「けがでオマーンに行けなかった悔しさを忘れずアピールしたい」。そう話した後に「正直まだまだですが、リオ五輪の前に、ブラジル(W杯)のチャンスがあると思っているので」と付け加えた。

 ザッケローニ監督はチーム構成を大きく変えない選出を続けているが可能性はゼロではない。実際、26日のU-19代表との練習試合を視察。日本協会の原専務理事も4月のA代表国内組合宿に関し「国内の常連は呼ばず、全く新しい選手を見るかも」と示唆した。

 Jリーグ視察でザッケローニ監督と話す機会が多い手倉森監督も「今回のU-21代表から誰か、A代表に選んでもらえるとうれしいですよね」と期待。岩波も逆転選出を諦めていない。手倉森ジャパンから飛び級となれば、間違いなく驚きの選考となる。【木下淳】