<U-17女子W杯:日本2-0スペイン>◇決勝◇4日(日本時間5日)◇コスタリカ・サンホセ

 「カラフルなでしこ」が大輪の花を咲かせた。日本がスペインを下し、初優勝を飾った。前半5分にMF西田明華(16=C大阪堺レディース)、後半33分にFW児野楓香(16=藤枝順心高)が得点した。6戦合計23得点、得点者12人は大会新記録。日本が国際サッカー連盟(FIFA)主催の世界大会で優勝するのは、11年女子W杯ドイツ大会以来2度目。6年後の東京五輪で中心となる世代が大きな勲章をつかんだ。

 日本列島に桜前線が到来する中、地球の裏側でも色彩豊かな花が咲き誇った。中南米で、リトルなでしこが世界の頂点に立った。

 試合が終わると、選手はベンチから飛び出した仲間と抱き合った。MF長谷川がFW小林に抱きつくと、勢い余って一緒に転倒。それを見た周りの仲間から、また笑いがあふれた。高倉監督は「あの小さななでしこたちが…。緊張して震えてたけど、堂々と戦ってくれた」とたたえた。

 先制は開始5分。DF松原のループシュートがクロスバーにはね返り、詰めたMF西田が右足で押し込んだ。その後はスペインの守備を崩せず、ピンチもあったが、後半16分から投入された児野が流れを変えた。33分、小林のパスに抜け出すとGKとの1対1を冷静に見極め、右足で追加点を決めた。

 西田は準決勝で脳振とうを起こしたDF北川に代わって先発。児野は後半から出場した1次リーグのパラグアイ戦でも得点した。大一番で控え組が活躍し、大会6戦23得点1失点という無敵の強さ。12人の選手が得点を記録したように、全員で攻め、全員で守る連動性あふれるサッカーで、層の厚さを見せつけた。

 昨春コスタリカでの事前合宿。練習以外の時間は、選手たちは公用語のスペイン語を勉強して町に出掛け、コーヒーなど特産品を買い物。夜は持参した高校の教材を囲んで勉強した。私生活でも協力し合い、団結力を高めてきた。

 20代前半で迎える東京五輪へ期待されるが、西田は「今後は与えられた1つ1つの試合を大事に戦い、リオ五輪を目指して頑張る」と2年後を見据えた。高倉監督も「この重圧を乗り越えたことは自信になった。1つ大きな宝物をもらったけど、どんどん上を目指してほしい」。世代交代が求められるなでしこジャパンにも、この栄冠は朗報だ。