<練習試合:U-21日本代表候補2-0福岡>◇13日◇45分×2◇レベスタ

 9月開幕の仁川アジア大会(韓国)で連覇を目指すU-21(21歳以下)日本代表が、福岡合宿最終日の13日、レベルファイブスタジアムでJ2福岡と練習試合を行った。手倉森誠監督(46)は新システム「4-3-3」で試合に入った後、柔軟性を試すため3バックと5バックにも挑戦。選手にも内緒の「布陣七変化」をサプライズで披露した。試合はMF大島僚太(21=川崎F)の決勝点などで完封勝ち。代表20人は21日に発表される予定だ。

 手倉森チルドレンが、目まぐるしく動き回った。A代表アギーレ新監督が「ベース」と明言したシステム「4-3-3」でスタートしたのは、序章にすぎなかった。手倉森監督は前半1回、後半は3回も試合中に布陣変更を指示。90分間で計6システムを試した。仙台の監督時代から踏襲する基本の「4-4-2」を加えれば「七変化」。しかもサプライズだった。

 「事前に3バックをやると言ってないし、ミーティングで映像も見せてない」。不敵に笑った後、狙いを解説した。「テーマは柔軟性と割り切り。状況に応じた戦いができなければ世界で勝てない。先に伝えなかったのは、柔軟性を見ながらバリエーションをすり込むため」。3週間ほど前から温めていたプランだった。

 この中で、本職のボランチではなく2列目で先発したMF大島は、前半3分に最前線まで攻め上がって得点した。「今までの自分では決めていない形のゴール。普段はあそこまで上がらないので」と効果を実感。2点リードの後半に入ったメンバーは「追加点に色気を出すな。守り切って帰ってこい」と送り出され、まさに「割り切り」の5バックで試合を締めた。

 アギーレ氏は就任会見で「DFが3人になる時も5人になる時もある」と話した。早くもリオ世代に体験させた手倉森監督は「ロシアW杯を目指す競争のアドバンテージになるし、どんな使われ方でも力を出せるようになってほしい。それが代表のコンプロミソ(スペイン語で責務などの意味)だ」。アギーレ氏の言葉を引用しながら、手応えを強調した。【木下淳】

 ◆J2福岡戦で試したシステム

 4-3-3でスタートしたが、前半14分に4-2-3-1へ変更。中央の底に置いた守備的なアンカーの両脇のスペースを狙われたため、2ボランチにして対応。後半はサイドバックの松原と三島を投入した16分から、サイド攻撃を活性化するため3バックへ変更。3-5-2と3-4-3を併用した。2点リードの終盤には、逃げ切りを図ってDF5枚の5-3-2とし、さらに5-4-1として守備固め。無失点で逃げ切った。