J2札幌MF荒野拓馬(21)が21日、仁川アジア大会(サッカー競技9月14日開幕、韓国)に出場するU-21(21歳以下)日本代表に選出された。チームでは主にサイドハーフも、代表ではFW登録になる。16年リオデジャネイロ五輪予選を兼ねる来夏のU-22アジア選手権は、今大会同様、セントラル開催での短期決戦。前哨戦となるアジア大会でMF、FWからサイドバックまでこなせる柔軟性を発揮し、五輪代表入りをアピールする。

 仁川で爆発し、リオまで突っ走る。荒野は17日のリーグ山形戦に続き、前日20日の天皇杯清水戦は、中2日で連続フル出場。それでも21歳の若者に「疲労」の2文字はない。この日も東京からの空路移動後、札幌宮の沢で約1時間のリカバリー調整に臨んだ。代表選出の一報を受け「日本を背負う気持ちで行く。誇りと責任を持って戦ってきたい」と意気込んだ。

 指揮を執る手倉森監督が求める柔軟性を、いかんなく発揮する。札幌ではMFで、主にサイドハーフをこなすが、代表ではFW登録になる。代表候補合宿で行った13日の福岡との練習試合で、同監督は荒野を1トップでテスト。ゴールこそ挙げられなかったが攻撃の軸となり2-0勝利に貢献。「難しいポジションだが、いろんな国の大きいDFと対戦しながら、うまくできるよう修正したい」と、今後は実戦を通し、進化を図る。

 リオ五輪予選となる来夏のU-22アジア選手権は、メンバー入れ替えの難しい敵地でのセントラル開催。今回のアジア大会が、その前哨戦となる。短期決戦のため手倉森監督は複数ポジションをこなせるよう求めており、2月に熊本合宿を視察した際は「荒野にはボランチもこなせるようにしてほしい」と話していた。20日の天皇杯清水戦では右MFでスタートし、途中でボランチ、最後はプロ初の右サイドバックで締めた。FW、トップ下、サイドハーフ、ボランチから、サイドバックまでこなす高い順応制を武器に、リオ五輪代表生き残りをかける。

 代表合宿開始の9月8日から、決勝まで進めば10月2日までチームを離れることになる。最長で9月14日の岐阜戦からリーグ4試合に出られないが「優勝を目指す。アジア大会で活躍することで、チームにも刺激を与えたい」と前を向いた。【永野高輔】