<U-19アジア選手権:日本1-1(PK4-5)北朝鮮>◇準々決勝◇17日◇ミャンマー・ネピドー

 U-19(19歳以下)日本代表は、U-19アジア選手権準々決勝で北朝鮮と対戦し、1-1からのPK戦の末に敗れた。来年行われるU-20W杯の出場権を獲得できず、8年ぶりのW杯進出を目前で逃した。後半38分にMF南野拓実(19=C大阪)のPKで追い付いたが、最後はPK5人目を務めたエースが止められた。

 外せば負け。決めればサドンデス。5人目キッカーの南野は左を狙ったが、相手GKの読みが当たり、ボールを完璧にセーブした。その瞬間、南野は歓喜にわく北朝鮮イレブンへ目を向けた。ひたすらその姿を追う。悔しさを脳裏に刻むように。手を掛けていたはずの世界への扉は、またしても重かった。今大会4試合で4ゴール。チームを引っ張ってきたエースにとっては、やるせない幕切れとなった。

 テレビインタビューを待つ間、わずかに目頭を押さえた。取材エリアでは感情を押し殺すように、うつむき、淡々と応じた。「悔しい気持ち、しかないですね。勝つためのチャンスも力もあった。申し訳ない」。敗因を問われれば「僕がPK戦で決めていれば勝っていたと思う」と責任を背負い込んだ。

 あと1歩のところまで来たのは南野がいたからだった。この日も前半36分に味方DF陣のクリアミスから端を発し先制点を許すが、後半38分にPKを決めたのはエースだった。初戦の中国戦では敗れたが、一時は同点ゴールを決めたのも背番号13。南野に始まり南野に終わった大会だった。

 この負けで、今年の育成年代は総崩れとなった。U-16はアジア選手権ベスト8で韓国に敗れW杯出場を逃した。U-21は世界をかけた大会ではないが、アジア大会の準々決勝で韓国の前に敗退。鈴木監督は「フィニッシュの精度。内容が良くても勝ち切れないのが、この大会だった」と振り返った。育成年代の不振については「各カテゴリーですり合わせることが大事。グループで仕掛けチャンスはあった。ラストパス、タイミング、コースの問題。個を持っている選手を育てないと」と、課題を挙げた。

 W杯だけでなく、来年1月のプレW杯、そして同6月に予定されているトゥーロン国際(フランス)と経験を積む舞台を逃した。未来のフル代表のためにも、痛すぎる敗戦となった。【高橋悟史】