アギーレジャパンが2連覇がかかるアジア杯オーストラリア大会(来年1月9日開幕)で、「呉越同舟」を強いられる可能性が出てきた。アジア・サッカー連盟(AFC)から、1次リーグを中心に試合の開催される各都市で対戦国との同宿を提示されたと日本協会幹部が10月31日、明らかにした。前回11年のドーハ大会は1次リーグ同組の4カ国が同宿となり、無駄なストレスが生じた前例もある。日本協会は改善を求めているが、最悪の場合は今大会も同宿を余儀なくされる。

 朝の散歩をしても、ロビーでくつろいでいても、エレベーターに乗っても、そのたびに対戦国の選手とバッタリ…。アギーレジャパンが、「呉越同舟」を強いられる可能性が浮上した。AFCがアジア杯出場国に対戦国との同宿を提示していた。日本協会幹部は「W杯ではありえないこと。アジア杯のステータスを上げるためにも、受け入れ態勢を考えないといけない。AFCには対戦国は別の宿舎にするように要請している」と明言した。だが、AFCが修正に乗り出すかは分からない状況だという。

 優勝した前回大会は国土の狭いカタールのドーハにほとんどの試合会場が集中しており、1次リーグの期間はB組で同組だった日本、ヨルダン、シリア、サウジアラビアが同宿。準々決勝終了後に規定により、ようやくホテルを移動できた。ただ、いらぬストレスが生じたのは間違いない。

 今回は広大なオーストラリアでの大会のため、1次リーグ同組の4カ国が同宿ということはないが、AFCが修正しなければ、1次リーグを中心に試合開催都市に入った対戦国同士が同宿となる。日本は当初から試合ごとに各都市を移動する計画を立てていた。1つの都市に滞在する時間は短く、移動と滞在を繰り返すだけに、試合の合間のリラックスタイムは必要。気を使わざるを得ない対戦国との同宿は避けたいはずだ。

 日本協会は10月28日、アジア杯の事前合宿をオーストラリア東部の最有力候補地だったハンターバレー地区で行うと発表。時期的には1月初旬から12日の1次リーグ初戦パレスチナ戦の前までの予定で、ワイナリーで有名な風光明媚(めいび)な地区でリラックスしながら最終調整を行う。

 連覇を目指す選手たちは、本番での心身ともに最高のコンディションの維持が必要不可欠。就任後初の公式戦に臨むアギーレ監督にとって結果を求められる大会だけに、「同宿問題」を解消して万全の態勢を整えたいところだ。

 ◆呉越同舟

 仲の悪い者や敵同士が同じ場所に居合わせること。また、仲が悪くても共通の困難や利害が一致すれば、協力して事に当たること。呉、越はともに中国春秋時代の国名。敵同士であったが、たまたま同じ舟に乗り合わせ、暴風に襲われて転覆しそうになった際に、助け合ったという故事から。