日本代表MF香川真司(25=ドルトムント)が、アギーレジャパンで「二刀流」に挑む構想が13日、明かされた。今日14日のホンジュラス戦(豊田ス)は中盤の左インサイドハーフで先発する見通しだが、18日オーストラリア戦(長居)も含めた2戦で、3トップのウイングも試す可能性をハビエル・アギーレ監督(55)が示唆した。日本代表はこの日、豊田スで冒頭15分公開の公式練習を行った。

 日本の10番が、複数ポジションを求めるアギーレジャパンの象徴になる。公式会見に出席したアギーレ監督が、香川の起用法について「真司はアウトサイド(FW)で使うこともできる」と明言。10月のジャマイカ戦で試された中盤3枚のインサイドハーフだけでなく、3トップのウイングでもプレーさせる意向を示した。これまでの練習から、ホンジュラス戦は左MFで先発することが濃厚だ。一方で、香川を1列前に上げるオプションを考えていた。

 日本協会の関係者によると、新たな可能性を模索するため、アギーレ監督が温めていたプランだった。母国メキシコのパチュカで行われたサッカー殿堂式典に出席。午後8時開始の公式練習直前までチームを離れていたが、不在中の練習映像を欠かさず日本から送らせ、霜田技術委員長とも毎日連絡を取りながら今回の構想を練っていたという。

 香川が10月に初招集された時は「4-3-3の中盤の選手と考えている」とインサイドハーフ起用を明かして驚かせたが、この日は「複数ポジションをこなせる選手が必要と、何度も言ってきた」。センターバックとアンカー兼任の森重、1トップとウイングの岡崎らと同じように絶対的存在と認め、二刀流を課した。

 来年1月のアジア杯(オーストラリア)への準備にもなる。フィールドプレーヤー20人という限られた構成で、決勝まで最大6試合を戦う。国際大会では故障や体調不良などアクシデントがつきもの。選択の幅が広がれば、指揮官も連覇への道筋をつけやすくなる。

 この2試合で代表通算20号を狙う香川にとってもチャレンジだ。ザックジャパンでは4-2-3-1の左MFが主戦場だったが、本来は味方と距離が近い中央を好む。監督もその適性を見極めて4-3-3のインサイドハーフを任せるが、左右に張ることの多いウイングもこなせれば、本人にとってもチームにとっても明るい話題となりそうだ。

 ホンジュラス戦に向けた非公開練習を終えた香川は「攻守両面でハードワークが求められる。そこに挑戦する中で違いを見せて、できれば前半のうちに先制点を取りたい。攻撃面で制限はないし、決定機を決め切る能力を発揮したい」と次々と意欲を吐き出した。香川が2つの顔を持つことになれば、アジア杯へ頼もしい戦力になる。【木下淳】

 ◆香川のポジション

 これまで中盤で起用されてきた。4-2-3-1が基本布陣だったザックジャパンでは、登録こそFWだが中盤の左が定位置。本田不在時にトップ下で起用されるも定着できなかった。所属クラブでは10年夏から2季過ごした第1次ドルトムント時代、マンチェスターU1年目の12-13シーズンは主にトップ下でプレー。点も取れるセカンドストライカーとして活躍した。マンU2年目で定位置を失い、今季開幕直前にはボランチ起用もファンハール監督から評価を得られず、トップ下では3番手以下の扱いで8月にドルトムントへ復帰した。