アギーレジャパンの第2戦が没収試合!?

 国際サッカー連盟(FIFA)は19日までに、公式サイトで9月9日に行われた親善試合日本-ベネズエラ戦(2-2)を没収試合とし、3-0で日本の勝利とすることを発表した。9月5日の韓国戦で退場処分を受けたベネズエラFWサロモン・ロンドン(25=ゼニト)を日本戦で先発起用したことに対する懲罰。試合の得点者、国際Aマッチ出場記録などはキープされるが、とんだドタバタとなった。

 アギーレジャパンがドタバタに巻き込まれた。FIFAはこの日、公式サイトで日本-ベネズエラ戦を没収試合とし、公式記録を日本の3-0の勝利に変更すると発表。期待の若手FW武藤、MF柴崎が決めた2得点の行方などが一気に注目される事態となった。

 日本協会の原専務理事は「FIFAから、日本は不利益を被らないと聞いている。(公式記録の変更は)ベネズエラに対する罰であって、日本側の出場記録や得点者はそのままとなる」と説明。日本協会としての公式記録は2-2の引き分け扱い、得点者や出場記録も変更しないものの、記録集などには注釈をつける必要性が出るという。

 ことの発端は9月5日の親善試合韓国-ベネズエラ戦(3-1)。途中交代でベンチに下がった際に退場処分を受けたベネズエラFWのS・ロンドンが、本来なら出場停止のはずの直後の日本戦に先発出場したこと。これがFIFAから規約違反と認定された。

 日本協会は9月9日の日本-ベネズエラ戦の試合後、その事実を確認。FIFAにマッチレポートを送信した。それに基づき、FIFAがベネズエラ協会や韓国協会に事情を聴き、違反行為を確認。試合から2カ月以上も経過したこのタイミングで発表した。

 日本協会はFIFAに試合結果の取り扱いについて確認済み。ベネズエラへの懲罰のため、FIFAとしての公式記録を変更したが、「日本はあくまで第三者のため影響は一切ない」と説明されている。ベネズエラにとっては2-2が0-3に変更され、FIFAランキングの算定ポイントなどに影響が出そうだ。

 ベネズエラ戦は結果的に引き分けに終わったものの、アギーレジャパンが初勝利に近づき、さらには武藤や柴崎という若手がゴールを挙げ一気に存在感を示した一戦。日本協会関係者は「前の試合のマッチリポートを取り寄せる必要があった」と話し、再発防止への注意喚起を図る意向だ。原専務理事は「世界的に見ても、親善試合ではいろいろなことが起きている」と苦笑いを浮かべていたが、とんだ騒動が発生した。【菅家大輔】

 ◆FIFA「Disciplinary

 Code(懲戒規約)」◆▽17条「Caution(注意=イエローカード)」

 (1)イエローカードは試合中に主審が、それほど重大ではない反スポーツ行為を行った選手に対して出す(2)同一試合で2枚イエローカードを出されると退場となり、自動的に次戦に出場停止となる。▽31条「Forfeit(没収)」

 (1)試合で没収処分となったチームは、0-3での負けとみなされる(2)そのチームがもともと3点より大差で負けていた場合、試合結果はそのままとなる。▽55条「Ineligibility(無資格)」

 (1)出場資格がない選手が公式戦に出場した場合、チームは没収試合の処分と最低6000スイスフラン(約73万1000円)の罰金を科せられる(2)出場資格がない選手が親善試合に出場した場合、チームは没収試合の処分と最低4000スイスフラン(約48万7000円)の罰金を科せられる。

 ◆没収試合の例

 08年のU-16アジア選手権に出場したイエメンが1次リーグUAE戦で制限年齢を超えた選手を起用したことが発覚。その一戦は没収試合となり、公式記録はUAEの3-0の勝利に変更。イエメンの1次リーグ残り2試合は開催すらされず無効試合となり、記録上は該当する日本、マレーシアの3-0の勝利となった。

 また、11年のW杯ブラジル大会アジア2次予選では、シリアがタジキスタンにホームアンドアウェーで2勝(2-1、4-1)して3次予選出場を1度は決めたが、その後に出場資格のない選手を起用していたことが発覚。FIFAは2戦ともに没収試合に認定し、タジキスタンの2勝(3-0、3-0)となったことで、タジキスタンが3次予選に進出を決めた。

 ◆ベネズエラ戦(9月9日、横浜国際)

 就任2戦目はFW武藤の代表初ゴールで先制。PKで同点に追いつかれたものの、代表初先発となったMF柴崎のゴールで突き放した。アギーレジャパン初勝利も見えてきたが、GK川島が痛恨のキャッチミスでまさかの同点ゴールを献上。2-2の引き分けで終わったが、アギーレ監督は「新しい選手が結果を残した。新しい血が注入された」と話した。